さよならを教えて ~comment te dire adieu~
2,750円CRAFTWORK/DLsite独占・462MB・Android版あり
CRAFTWORKの「さよならを教えて ~comment te dire adieu~」は、 自ら「断末魔のファナティックアドベンチャーノベル」と名乗る一本です。 価格は2,750円、容量462.82MB。DLsite独占で販売されています。
スコアは100点満点中79点。 ただしこの点数はほとんど意味を持ちません。本作はシナリオだけが突出し、 それ以外の項目が軒並み低いという、極端に歪な形をしているからです。
まず警告から。これは万人向けではない
物語は、自分を見失った男が悪夢と白昼夢に悩まされながら、 教育実習生として学校へ通うところから始まります。 校内で出会う少女たちに安らぎを求め、同僚の女性教師たちの顔色をうかがう日々。 しかし彼と他者の間には深い断絶だけがある――という構造です。
登場人物は巣鴨睦月、高田望美、田町まひる、目黒御幸、上野こより、 保健医の大森となえ、担当教諭の高島瀬美奈の7名。 正気と狂気の境界を越えた先に結末が待つ、というのが本作の骨格になります。
シナリオだけが突出している
シナリオは石埜三千穂と長岡建蔵、 イラストも長岡建蔵、音楽はさっぽろももこ。 当サイトのシナリオ評価で初めて満点の20点を付けた作品です。
評価の理由は、読み手の認識を操作する構造そのものが仕掛けになっている点にあります。 語り手が信用できないという前提のもと、何が起きているのかを読者が組み立て直すことを要求する。 この種の構成を破綻させずに最後まで持たせている作品は、そう多くありません。
Windows 10対応のため最新システムへ移植されており、メッセージバックと メッセージバックからのロードに新規対応しています。 読み返しながら進める作品なので、この改修は実用上かなり効きます。 なお移植にともなって一部演出が変更されている旨も明記されています。
800×600という解像度をどう受け止めるか
本作の必要解像度は800×600フルカラーです。 今回レビューした作品群の中でも最も低く、現行のディスプレイで表示すると 画面のごく一部にしか描画されません。
さらに、販売ページに声優クレジットが一切ありません。 作品形式には「音声あり」と記載されているものの、 誰が演じているのかを購入前に確認する手段がない状態です。 音声を重視する人には不親切と言わざるを得ません。
体験版もサンプルムービーもありません。 つまり買うまで中身を確認できない。 ただし容量462.82MB、価格2,750円という規模を考えれば、 失敗したときの損失は他作品より小さいとも言えます。
なおAndroid版(2,420円)が別商品として販売されています。 解像度の問題を回避したいなら、こちらを検討する手もあります。 また同人フロアでは設定資料&原画集の増補改訂版も別途販売されています。
5軸スコアと評価の内訳
シナリオ20点、音声13点という数字の開きが、本作の性格をそのまま表しています。 総合点で他作品と比べても意味がありません。 シナリオを読むためだけに買う作品だと割り切ってください。
コスパ(18点)が高いのは、2,750円という価格に対して 得られる読書体験の密度が極めて濃いためです。 ボリューム(14点)とビジュアル(14点)は、 462MBという容量と800×600という解像度が素直に反映された結果です。
作品スペック一覧
| 正式タイトル | さよならを教えて ~comment te dire adieu~ |
|---|---|
| ブランド | CRAFTWORK(DLsite独占販売) |
| 価格 | 2,750円(Android版は別商品 2,420円) |
| 販売日 | 2016年1月29日 |
| 作品形式 | アドベンチャー(音声あり・音楽あり) |
| 年齢指定 | R-18(ソフ倫受理番号 0029267D) |
| ジャンルタグ | 鬱/少女/学校・学園/ホラー/狂気/猟奇 |
| シナリオ | 石埜三千穂、長岡建蔵 |
| イラスト | 長岡建蔵 |
| 音楽 | さっぽろももこ |
| 登場人物 | 巣鴨睦月、高田望美、田町まひる、目黒御幸、上野こより、大森となえ、高島瀬美奈 ※CV表記なし |
| ファイル容量 | 462.82MB |
| 動作環境 | Windows Vista/7/8/10、CPU Pentium 4 2GHz以上(推奨 Core 2 Duo以上)、メモリ256MB以上(推奨512MB)、VRAM 128MB以上(推奨256MB)、800×600フルカラー、DirectX 9.0以上 ※Mac非対応 |
| 移植対応 | Windows 10対応。メッセージバックとそこからのロードに新規対応(一部演出は変更) |
| 体験版 | なし(サンプルムービーもなし) |
良かった点・気になった点
良かった点
- シナリオの構造が仕掛けそのものになっており、最後まで破綻しない
- 2,750円という価格に対して読書体験の密度が極めて濃い
- メッセージバックからのロードに対応し、読み返しやすい
- 容量462MBと軽量で、動作環境のハードルも低い
- 解像度が気になるならAndroid版という選択肢がある
気になった点
- 精神的嫌悪感を伴う内容。販売ページ自身が購入の制止を明記している
- 解像度800×600は現行環境では明確に厳しい
- 声優クレジットが一切なく、キャストを確認できない
- 体験版もサンプルムービーもなく、購入前に試せない
- ボリューム自体は大きくない
結論:誰が買うべきか
読み物として強烈な体験を求めていて、重い題材に耐えられる人だけが対象です。 シナリオ評価20点は当サイトで唯一の数字であり、その一点においては文句なく勧められます。 2,750円という価格も、この体験に対しては安い部類でしょう。
それ以外のすべての人には勧めません。 絵の綺麗さ、ボリューム、音声、快適さ―― 本作が提供しないものを求めているなら、確実に失望します。 販売ページが自ら購入の制止を書いている作品だという事実を、軽く見ないでください。
買うと決めたなら、まとまった時間を確保して一気に読むことを勧めます。 細切れに進めると構造の仕掛けが効きにくくなります。