ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう
7,920円ALICE SOFT/声優21名・3.16GB・体験版あり
ALICE SOFTの「ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう」は、 販売ページ上のジャンル表記が「ハルウラレ系RPG」という、 いかにもこのメーカーらしい一本です。価格は7,920円、容量3.16GB。
スコアは100点満点中89点。 5軸すべてが17点以上という穴のない構成で、 今回レビューした11作品の中でも上位に食い込みました。
アリスソフトが作る「RPG」としての骨格
まず押さえておくべきは、本作が読むだけの作品ではないことです。 アドベンチャーに分類されてはいますが、実態はRPGとしての育成と運用が主軸にあります。 アリスソフトはこの領域を長く手がけてきたメーカーで、 ゲーム部分が飾りで終わらないという信頼があります。
舞台は瀬戸内海に面した企業城下町「亜総義市(あそぎし)」。 市民は一企業に生活のすべてを統制されながら、 疑問も不満も持たずに与えられた平穏を享受しています。 しかしこの街には「抗亜(こうあ)」と呼ばれる反体制勢力が存在し、 武力で人や物を奪う「ヒトカリ」などで秩序を否定し続けている。
勢いづく抗亜、抹殺を図る企業、そして近づく「生誕祭」。 この三つが噛み合って街が大きく動き出す、という構造です。 ディストピア的な設定を土台に、そこで生きる個人を描くという組み立てで、 世界観の作り込みは価格に見合っています。
なおジャンルタグには「退廃・背徳・インモラル」「超ひどい」といった語が並びます。 明るく爽やかな作品ではありません。 アリスソフトの作風を知らずに手を出すと面食らう可能性があるので、 そこは理解した上で購入してください。
声優21名という物量とキャラの立たせ方
本作で数字として際立つのがクレジットされた声優21名という編成です。 野☆球、東シヅ、飴川紫乃、谷根千、二階堂明日郎、鈴谷まや、小波すず、夏樹柑菜ら、 幅広い顔ぶれが揃っています。
登場人物の名前を並べるだけでも作品の空気が伝わります。 主人公のクマを筆頭に、ザッパ(CV:野☆球)、ポルノ(CV:東シヅ)、 キラキラ(CV:飴川紫乃)、虎太郎(CV:谷根千)、ムラサキ(CV:二階堂明日郎)、 シオン(CV:鈴谷まや)、ALyCE(CV:小波すず)、 壬生菊千代(CV:夏樹柑菜)、メディコ、アンテナ、ミストレス――。 通称やコードネームで構成された名前が、 非合法組織という設定をそのまま体現しています。
原画は魚介、SD原画はかにかま。 シナリオはダイスころがし、ディレクターはいってんちろく、 プログラムは桜ノ咲みえが担当しています。 プログラム担当が個人名でクレジットされているのは、 ゲーム部分に相応の工数が割かれている証拠でもあります。
ページにはDLsiteアワードの受賞・ノミネート作品一覧へのバナーが掲出されています。 具体的な部門名や年次までは明記されていませんが、 評価対象として扱われている作品であることは読み取れます。
体験版708MBで手触りを確かめられる
本作には約708MBの体験版が用意されています。 RPG要素のある作品において、これは非常に重要です。
読み物であれば絵と文章の相性だけで判断できますが、 ゲーム性のある作品は操作感、テンポ、育成の面倒くささといった 文章では伝わらない要素が満足度を左右します。 708MBという規模なら、そのあたりの手触りは十分に確認できるでしょう。
動作環境はWindows 8/10、CPU Core i3以上、メモリ2GB以上、 VRAM 256MB以上(シェーダモデル2.0以上)、DirectX 11以上。 2020年の作品としては軽量で、現行のパソコンなら問題なく動くはずです。 ただしPlayDRM形式である点は確認しておいてください。
5軸スコアと評価の内訳
特筆すべきは5軸すべてが17点以上という点です。 突出した項目がない代わりに、弱点もない。 どこを取っても水準以上という作りは、 長く遊ぶ作品において最も価値のある性質です。
コスパ(17点)だけがわずかに低いのは、 7,920円という価格に対して容量が3.16GBと控えめなためです。 ただしRPGとしての遊べる時間を考えれば、 単純な容量比較で判断すべきではないという留保も付きます。 音声・ボリューム・シナリオ・ビジュアルはいずれも18点で、 アリスソフトの地力がそのまま出た結果と言えます。
作品スペック一覧
| 正式タイトル | ドーナドーナ いっしょにわるいことをしよう |
|---|---|
| ブランド | ALICE SOFT |
| 価格 | 7,920円 |
| 販売日 | 2020年12月25日 |
| 作品形式 | アドベンチャー/ハルウラレ系RPG(音声あり・音楽あり) |
| 年齢指定 | R-18(ソフ倫受理番号 2003189D) |
| ジャンルタグ | 退廃・背徳・インモラル/超ひどい ほか |
| シナリオ | ダイスころがし |
| イラスト | 魚介(原画)、かにかま(SD原画) |
| スタッフ | ディレクター いってんちろく/プログラム 桜ノ咲みえ |
| 出演 | 野☆球、東シヅ、飴川紫乃、谷根千、二階堂明日郎、鈴谷まや、小波すず、夏樹柑菜、牛蛙キタロウ、百千るか、金松由花、榛名れん ほか計21名 |
| ファイル容量 | 3.16GB(PlayDRM形式) |
| 動作環境 | Windows 8/10、CPU Core i3以上、メモリ2GB以上、VRAM 256MB以上(シェーダモデル2.0以上)、1280×720フルカラー、DirectX 11以上 ※Mac非対応 |
| 受賞 | DLsiteアワード受賞・ノミネート作品一覧へのバナー掲出 |
| 体験版 | あり(約708MB) |
良かった点・気になった点
良かった点
- 5軸すべてが17点以上で、弱点が見当たらない
- 声優21名という物量で、サブキャラまで声が付いている
- 企業城下町と反体制勢力という世界観の作り込みが厚い
- RPG部分が飾りで終わらず、遊べる時間が長い
- 体験版が約708MBあり、操作感まで事前に確認できる
- 動作環境が軽く、現行のパソコンなら問題なく動く
気になった点
- 7,920円に対して容量3.16GBと、素材量では割高に見える
- 退廃的な作風で、明るい作品を求める人には合わない
- 解像度1280×720で、フルHD作品と並べると見劣りする
- 音楽担当のクレジットが販売ページに記載されていない
- DLsiteアワードのバナーはあるが、受賞部門や年次が明記されていない
結論:誰が買うべきか
読むだけでは物足りず、遊べる作品を求めている人に強く勧められます。 アリスソフトというメーカーの地力がそのまま出ており、 RPG部分の作り込みで7,920円の元は取れます。 今回の11作品の中では、時間あたりの満足度が最も安定している一本です。
明るく爽やかな作品を探している人には向きません。 ジャンルタグが示すとおり作風は退廃的で、 気軽に癒される類の内容ではありません。ここは好みの問題として割り切ってください。
購入前には体験版(約708MB)で操作感を確認することを勧めます。 ゲーム性のある作品は、絵と文章だけでは判断できません。 逆に体験版で手が止まらなかったなら、本編は確実に楽しめます。