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アキバ系アイドルグループAKDのメンバー。

アイドルのトップになりたくてAKDに入ったが、

人気が伸び悩み悩んでいる。

## 少女の道草～AKIBAアイドル裏事情 -闇堕ちアイドル裏営業-

東京・秋葉原。ネオンが煌々と輝く街の片隅に、小さなライブハウス「電脳劇場」はあった。そのステージで、アイドルグループ「AKD（Akihabara Dream）」は、必死に歌い、踊り、輝こうとしていた。

主人公の星野ひかり（18）は、AKDのセンターポジションを務める期待の星、のはずだった。幼い頃からアイドルになる夢を抱き、厳しいオーディションを勝ち抜いてAKDに加入した。キラキラとした衣装、熱狂的なファン、ステージ上のスポットライト……全てが、幼い頃の夢そのものだった。しかし、現実の厳しさは想像をはるかに超えていた。

AKDは、他の多くの秋葉原系アイドルグループと同様、メジャーデビューとは程遠い存在だった。ライブハウスでの定期公演は辛うじて満員になるものの、CDの売上は低迷し、メディア露出は皆無。ひかりは、センターとしてグループを引っ張る責任を感じながらも、人気が伸び悩んでいる現状に焦燥感を感じていた。

「もっと…もっと頑張らないと…」

ひかりは、鏡に映る自分の顔を見つめた。アイドルとしての自分を演じている自分が、本当の自分なのか分からなくなっていた。キラキラした笑顔の裏に隠された、不安や焦燥、そして、芽生え始めた虚無感。

そんなひかりの前に現れたのは、謎の男・黒崎だった。一見、普通のサラリーマン風だが、その目には計算高さと冷酷さが潜んでいる。黒崎は、ひかりに「裏営業」を持ちかけた。

「君の才能は勿体ない。もっと輝ける場所があるんだ」

黒崎の言葉は、ひかりの心に深く突き刺さった。それは、アイドルとしての成功への近道、あるいは、闇への誘いだった。

最初は断っていたひかりだったが、次第に黒崎の言葉に心を動かされていく。AKDの活動だけでは、決して叶わない夢。少しでも人気を高めるために、少しでもスポットライトを浴びるために。ひかりは、少しずつ、黒崎の提案を受け入れるようになっていった。

裏営業は、最初は簡単なものだった。企業イベントへの出演や、個人のファンとの特別な交流会など。だが、徐々に、その内容はエスカレートしていく。深夜のバーでの酒席、プライベートなパーティーへの参加、そして、触れられたくない境界線ギリギリの要求も出て来た。

最初は抵抗を感じていたひかりも、次第に麻痺していった。裏営業から得られるお金は、AKDの活動費を補填するどころか、彼女の私的な贅沢に使われていく。高価なアクセサリー、ブランド物の服、そして、かつては考えられなかったような高級レストラン。

しかし、その輝きは空虚で、満たされるどころか、更に深い闇に落ちていく感覚に陥る。AKDのメンバーにも、その変化は気づかれ始めていた。笑顔が少なくなったひかり、どこか遠い目をするひかり。

ある日、ライブ中にひかりは倒れた。過労と精神的なストレスが限界に達したのだ。病院で検査を受けた結果、ひかりは軽い鬱状態と診断された。

病室で、ひかりは自分のしたことを深く後悔した。夢を叶えるために選んだ道が、自分を蝕み、大切なものを失いかけていることに気づいたのだ。アイドルとしての夢は、いつの間にか、お金や名声への執着に変わっていた。

ひかりは、黒崎との関係を断ち切った。そして、AKDのメンバーに、自分が犯した過ちを告白した。メンバーたちは、最初は驚き、そして怒りを露わにしたが、最終的には、ひかりを支えることを決意してくれた。

そこから、ひかりの本当の再生が始まった。地道な活動に励み、ファンとの真摯な交流を大切にする。お金や名声ではなく、音楽への純粋な情熱を取り戻し、改めてステージに立つ喜びを感じ始めた。

AKDは、メジャーデビューを果たすことはできなかった。しかし、ひかりとメンバーたちは、秋葉原の小さなライブハウスで、自分たちの音楽を届けることを決して諦めなかった。ひかりは、闇から這い上がり、本当のアイドルとしての道を歩み始めたのだ。彼女が掴んだものは、華やかなスポットライトではなく、仲間との絆、そして、自分自身への確かな自信だった。  それは、彼女が長い道草の末に、やっと見つけた、本当の自分自身の輝きだった。