【二次エロ】さよならストーカー【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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本作品は決して犯罪行為を推奨するものではなく

またそれを助長するような表現、描写は行っておりません。

現実と妄想の区別が付きづらい方は、本作品のプレイをお控えいただけますと幸いです。

「さよならストーカー」

　窓の外は、もうすっかり夜だった。街灯のオレンジ色の光が、カーテンの隙間から部屋に差し込み、歪んだ模様を描いている。私はソファに沈み込み、膝を抱え込んだ。静寂が、部屋の隅々まで染み込んでいる。いや、静寂なんてものは、とうの昔に失われた。この部屋には、いつも「彼」の気配が、澱のように沈殿していた。

　「彼」。名前すら、もう思い出せない。初めて彼を見たのは、いつだっただろうか。大学のキャンパスで、図書館で、あるいはカフェで。断片的な記憶が、波のように押し寄せては、また静かに引いていく。最初は、ただの偶然だと思っていた。偶然、同じ時間に同じ場所にいる。それが、徐々に、歪な必然へと変わっていった。

　「偶然」は、いつしか「必然」になった。私の行動範囲に、彼の姿が頻繁に現れるようになった。最初は、視線を感じる程度だった。ふと顔を上げると、遠くからこちらを見ている。「気のせいかな？」そう思おうとした。でも、その視線は、いつも私を捉えていた。

　それから、彼は「私」を認識し始めた。私が通る道に、彼が立っている。私が買うコーヒーショップに、彼が並んでいる。私が通うジムに、彼が汗を流している。まるで、私の行動を先読みしているかのように。いや、先読みしているのではなく、私を「観察」し、その行動を「模倣」している、そんな気がした。

　最初は、恐怖だった。背筋を駆け上がる冷たいもの。息を殺して、その場をやり過ごす日々。誰かに相談しようかとも思った。けれど、何をどう伝えればいいのか分からなかった。ただ、見られている。それだけでは、誰も信じてはくれないだろう。

　次第に、恐怖は、嫌悪へと変わっていった。私の日常を、私の時間を、私の存在を、一方的に奪い取っていく「彼」への嫌悪。彼の存在が、私の呼吸を苦しくさせた。彼がいない場所で、ようやく息ができる。それでも、ふとした瞬間に、彼の気配を感じてしまう。それは、もう私の感覚に染み付いてしまった、毒のようなものだった。

　「彼」との距離は、日に日に縮まっていた。最初は何十メートルも離れていたのに、いつの間にか数メートル。彼の顔が、ぼんやりと見え始めた。無表情で、ただ私を見つめている。その瞳には、何の感情も宿っていないように見えた。まるで、鏡のように、私の姿を映し出しているだけ。

　ある日、私は、決意した。もう、このままではいられない。この「彼」という幻影から、逃げなければ。逃げるのではなく、「終わり」にしなければ。

　計画を立てた。いや、計画というほど大袈裟なものではない。ただ、確実な「別れ」を、私から仕掛けるだけ。

　夜の公園。街灯の明かりが、人気のないベンチを照らしている。私は、ここに座って、彼を待った。来るだろうか。きっと来る。彼は、私のことを、決して見失わない。

　しばらくして、物音がした。木の葉が擦れる音。ゆっくりと、こちらに近づいてくる気配。私は、動かなかった。心臓の鼓動だけが、うるさく響いている。

　「…来た」

　暗闇の中から、彼のシルエットが現れた。やはり、彼は来た。私の予想通り。

　「私に、何か用？」

　私は、静かに話しかけた。声が、少し震えているのが自分でも分かった。

　彼は、何も言わなかった。ただ、じっと私を見つめている。その無表情な顔が、夜の闇に溶け込んでいるようだった。

　「もう、やめましょう」

　私は、続けた。言葉を選びながら。

　「あなたと、私。私たちは、何も関係がない。これからも、きっと、何も関係はない」

　沈黙。公園の静寂だけが、私たちの間に横たわっていた。風が、私の髪を撫でていく。

　「私は、あなたのこと、もう、見たくないの」

　Finally. 最後の言葉を、私は絞り出した。もう、これ以上、彼に私の時間を費やすことはできない。

　彼は、ゆっくりと、顔を上げた。その瞳が、街灯の明かりを反射して、微かに光った。

　「…見ないで、いい」

　初めて、彼は私に言葉を発した。その声は、低く、乾いていた。

　「でも…私、あなたのこと、見てる」

　その言葉は、私に、これまで感じたことのないような、冷たい衝撃を与えた。それは、恐怖でも、嫌悪でもない。もっと、根源的な、虚無感。

　「あなたは、私を、見てる。でも…私は、あなたを、見ない」

　私は、震える声で、そう繰り返した。

　「だから…もう、終わり」

　私は、立ち上がり、彼の前から離れようとした。

　「…さよなら、私」

　彼の声が、背後から聞こえた。それは、まるで、私自身に語りかけるような、奇妙な響きを持っていた。

　私は、振り返らなかった。ただ、ひたすら、歩いた。公園の出口に向かって。街灯の光が、私の影を長く引き延ばしていく。

　「彼」は、もう、いない。もう、私の前に現れることはないだろう。

　そう、信じたい。

　けれど、心の中に、微かな不安が残っていた。私の「彼」への執着が、彼自身から離れたとしても、それは「私」の中に、きっと、残る。

　この部屋の、この静寂の中に。

　私は、まだ、見られているのかもしれない。

　自分自身に、憑りつかれたように。

　窓の外は、相変わらず、夜だった。

　カーテンの隙間から差し込む光は、もう、歪んだ模様を描いていない。

　ただ、静かに、部屋を照らしている。

　まるで、何もなかったかのように。

　でも、私は知っている。

　何も、なかったわけではない。

　あの「彼」という存在が、私の日常を、静かに、しかし確実に、侵食していたことを。

　そして、今、この静寂もまた、あの「彼」という幻影が、私の中に生み出した、新たな「日常」なのかもしれない。

　「さよなら、ストーカー」。

　この言葉は、彼に向けられたものではないのかもしれない。

　自分自身に向けられた、祈りのような、あるいは、宣誓のような言葉だったのかもしれない。

　私は、ソファから立ち上がった。

　冷たい床に、裸足が触れる。

　部屋の隅々まで、静寂が染み込んでいる。

　しかし、もう、その静寂は、私を支配しない。

　私は、この部屋に、一人でいる。

　そして、この一人を、私は、愛していこう。

　たとえ、その一人の中に、あの「彼」という幻影が、ひっそりと潜んでいるとしても。

　私は、もう、彼に「見られる」ことを恐れない。

　なぜなら、私が、私自身を「見る」ことを、選んだから。

　夜は、まだ、明けない。

　しかし、私の心の中には、確かな、夜明けが、始まっていた。

　「さよなら、ストーカー」。

　もう、二度と、会うことはない。

　そう、心の中で、静かに、しかし、力強く、繰り返した。

　この「さよなら」が、私の、本当の「はじまり」となることを願って。

　私は、部屋の明かりを消した。

　暗闇の中に、私は、一人。

　そして、その一人に、私は、包み込まれた。

　それは、恐怖ではなく、安堵だった。

　「さよなら、ストーカー」。

　もう、一度。

　今度は、もっと、静かに。

　あの、存在しないはずの「彼」に、そして、私自身に。

　この、静寂に、別れを告げるように。

　そして、私は、眠りについた。

　深い、眠り。

　もう、誰にも、見られることのない、

　私だけの、眠り。