【エロ動画】玉なしHなふたなりさん(1)【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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■イラスト:アヤナキトリ様
■CV(1):Ah-ya様
■CV(2):Pincree様、花菖蒲様

## 幻想の扉、開かれる時

静寂が支配する学園の図書室。埃の舞う午後の日差しが、古びた書棚に斜めに差し込み、鈍い光を放っていた。その一角、人目につかない奥まった席に、一人の生徒が身を潜めるように座っていた。名を、月見 茜（つきみ あかね）という。

茜は、この学園でも異彩を放つ存在だった。周囲の男子生徒たちがスポーツに明け暮れ、女子生徒たちが恋に胸を焦がす中、茜はただひたすらに書物に没頭していた。その静かで内向的な性格もさることながら、彼女を際立たせていたのは、その特異な身体的特徴だった。

茜は、身体に男女両方の性器を持つ「ふたなり」だった。しかし、その事実を周囲に知られることは、彼女にとって想像を絶する恐怖だった。幼い頃から、その違いからくる好奇の視線や嘲笑に晒され、心に深い傷を負っていた。だからこそ、彼女はこの学園に編入し、徹底的に目立たないように、誰にも干渉されないように生きてきたのだ。

そんな茜の唯一の慰めは、この図書室に並ぶ物語の世界だった。現実の苦しみから逃れ、幻想の世界に浸ることで、彼女は安らぎを得ていた。特に、最近彼女の心を惹きつけていたのは、ある奇妙なタイトルの本だった。

「玉なしHなふたなりさん (1)」。

表紙には、妖艶な雰囲気を纏った、しかしどこか儚げな美貌の人物が描かれている。その視線は、まるで茜の内面を見透かすかのように、深く、そして寂しげだった。タイトルに惹かれ、吸い寄せられるように手に取ったその本は、茜の閉ざされた心を静かに開いていく。

物語は、ある魔法学園を舞台にしていた。そこには、人間の枠を超えた存在が通っており、茜が抱える秘密と奇妙なほど共通する設定があった。主人公は、茜と同じく、その特異な体質ゆえに周囲から孤立し、傷つきながらも、本当の自分を愛してくれる誰かを求めていた。

「まさか、こんな物語があるなんて…」

ページをめくるたび、茜の胸は高鳴った。主人公の葛藤、出会い、そして少しずつ芽生える希望。それは、茜自身がずっと抱えてきた想いと重なり、まるで自分自身のために書かれた物語のように感じられた。

特に、主人公が初めて、自分と同じような存在と出会う場面には、息を呑んだ。それは、この世に自分は一人ではないという、絶望的な孤独からの微かな解放を予感させる瞬間だった。

「（もし、私も…）」

ふと、そんな考えが茜の頭をよぎった。現実にはありえない、しかし、この物語の世界ならば、もしかしたら…。

その夜、茜は珍しく眠りにつくのが遅かった。枕元に置かれた「玉なしHなふたなりさん (1)」を、何度も撫でた。その表紙の人物の顔を、まるで現実の誰かであるかのように見つめた。

翌朝、茜はいつもより少しだけ早く目を覚ました。窓の外は、まだ薄暗い。しかし、彼女の心には、昨夜から灯った小さな炎が、確かな暖かさを伴って燃え盛っていた。

「よし。」

決意を秘めた表情で、茜はベッドから起き上がった。いつもなら、何事もなかったかのように日常に溶け込もうとする自分だった。しかし、今日は違った。

図書室へ向かう道すがら、茜の足取りはいつもより軽かった。周囲の喧騒も、彼女の耳には心地よく響く。まるで、世界が優しく彼女を包み込んでいるかのようだった。

図書室に入ると、いつものように静寂が彼女を迎えた。しかし、茜はいつものように奥まった席には向かわなかった。その代わりに、彼女は正面の窓際の席に座った。そこは、日差しがよく差し込み、少しだけ開放的な空間だった。

そして、茜は鞄から「玉なしHなふたなりさん (1)」を取り出した。しかし、昨日のように隠れるように読むのではない。今日は、堂々と、まるでこの物語を世に広めたいとでも言うかのように、開いた。

ページをめくる。主人公が、自身の秘密を抱えながらも、勇気を出して一歩を踏み出す場面。茜の指先が、そのページをそっと撫でた。

その時、彼女はふと、背後に気配を感じた。振り返る。

そこに立っていたのは、一人の男子生徒だった。彼の名は、風間 蓮（かざま れん）。学園でも指折りの運動神経と、人懐っこい笑顔を持つ、クラスの人気者だった。しかし、茜にとって、彼は遠い存在であり、決して関わりを持ちたくない人物の一人だった。

蓮は、茜が読んでいる本をじっと見つめていた。その視線に、茜は一瞬、心臓が跳ね上がった。見られた。秘密が、バレてしまうかもしれない。

しかし、蓮の表情は、茜が恐れていたような好奇や嘲笑ではなかった。そこにあったのは、純粋な興味と、かすかな戸惑いだった。

「その本、面白いんですか？」

蓮の声は、穏やかだった。茜は、動揺を抑えながら、小さく頷いた。

「…はい。とても。」

「ふたなり、ですか。」

蓮は、茜が読んでいる本のタイトルに触れた。茜の顔が、一瞬で紅潮した。

「（もう、ダメだ…）」

彼女は、目を伏せた。しかし、蓮はそれ以上何も言わず、ただ静かに茜の隣に立った。

「僕、そういう話、あまり読んだことがなくて。どんな話なんですか？」

蓮の言葉は、責めるようなものではなく、純粋な質問だった。茜は、恐る恐る顔を上げた。蓮は、優しく微笑んでいた。

「…その、男の子が、女の子みたいでもあって、女の子が、男の子みたいでもあって…」

茜は、言葉を選びながら、主人公の境遇を説明し始めた。蓮は、相槌を打ちながら、熱心に耳を傾けていた。

「なるほど。大変なんだろうな。でも、だからこそ、何か特別な力があるのかもしれないね。」

蓮の言葉に、茜はハッとした。特別な力。それは、茜が物語を通して抱いた、漠然とした希望の光と重なる響きだった。

「…そう、かもしれません。」

「もしよかったら、貸してもらえませんか？僕も読んでみたい。」

蓮は、茜に本を指差した。茜は、迷った。この本は、彼女にとって、とても特別なものだった。しかし、蓮の真剣な眼差しを見て、彼女は胸の奥が温かくなるのを感じた。

「…あの、これは、まだ1巻しかなくて…」

「大丈夫。1巻だけでも、きっと面白いと思うから。」

茜は、ゆっくりと本を蓮に手渡した。蓮は、嬉しそうにそれを受け取ると、茜の顔をまっすぐに見つめた。

「ありがとう、月見さん。きっと、僕もこの物語に夢中になると思う。」

その夜、茜は、いつもよりぐっすりと眠りについた。枕元には、「玉なしHなふたなりさん (1)」はない。しかし、彼女の心の中には、蓮との出会いが、物語の続きとともに、温かな希望となって芽生えていた。

翌日、蓮は茜に、昨日読んだ本の感想を熱く語った。主人公の葛藤に共感し、その成長に感動したと。そして、茜に、これからも一緒にこの物語を追っていきたいと伝えた。

茜は、戸惑いながらも、蓮の言葉に頷いた。生まれて初めて、自分の秘密を共有できるかもしれない、そして、自分を理解してくれるかもしれない、そんな温かい感情が、彼女の心を包み込んだ。

「玉なしHなふたなりさん」という、一見すると刺激的なタイトルに隠された、本当の物語。それは、孤独や葛藤を抱える者たちが、互いを理解し、支え合い、そして自分自身を愛することの大切さを描いていた。

茜は、この物語を通して、そして蓮との出会いを通して、ゆっくりと、しかし確実に、自分の殻を破り始めていた。幻想の扉は、静かに、しかし力強く、彼女のために開かれようとしていた。