【エロ動画】【過去作】 奈月ちゃんだよ～【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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【過去作】 奈月ちゃんだよ～

## 奈月ちゃんだよ～

太陽がアスファルトを焦がすような、うだるような暑さだった。蝉の声が鼓膜を叩き、思考を邪魔する。僕は、額の汗を拭いながら、古びたアパートの階段を一段一段、重い足取りで上がっていた。

アパートの名前は「夕暮荘」。錆び付いた看板は文字がかすれて、今にも剥がれ落ちそうだ。三階の一番奥の部屋、３０３号室。そこに、奈月は住んでいる。

奈月。

彼女のことを考え出すと、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。痛みとも、切なさとも違う、形容しがたい感情。ただ、会いたい、という衝動だけが、僕を突き動かしている。

奈月とは、SNSで知り合った。共通の趣味である音楽の話で意気投合し、メッセージのやり取りを重ねるうちに、互いの日常を語り合うようになった。彼女の言葉はいつも優しく、温かく、僕の心の奥底にじんわりと染み渡ってくるようだった。

そして、僕たちは会う約束をした。

しかし、その約束が果たされることはなかった。

奈月は、突然、連絡を絶ったのだ。

SNSのアカウントは削除され、メールアドレスも繋がらない。一体何が起こったのか、僕にはさっぱり分からなかった。

毎日、奈月のことを考え、眠れない日々が続いた。何か事件に巻き込まれたのではないか、と不安が募る。いてもたってもいられず、僕は彼女がSNSで教えてくれた住所を頼りに、この夕暮荘にやってきたのだ。

３０３号室の前で立ち止まる。ドアは古く、ペンキが剥がれかけている。小さな郵便受けには、数枚のダイレクトメールがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。

深呼吸をして、僕は震える手でインターホンを押した。

「…はい」

掠れた、小さな声が聞こえた。

「あの…奈月さん、いらっしゃいますか？」

「…どちら様ですか？」

「僕は、SNSで知り合った…」

言い終わる前に、ガチャリ、と音がしてドアがゆっくりと開いた。

そこに立っていたのは、痩せ細った女性だった。肌は青白く、目の下には濃いクマができている。長い髪はボサボサで、生気がない。

「…奈月さん、ですよね？」

女性は、戸惑ったように目を伏せた。

「…人違いです」

「そんな…でも、この住所は…」

「違います。私は、ここに住んでいる者ではありません」

そう言うと、女性はドアを閉めようとした。

「待ってください！どうか、少しだけお話を聞かせてください！」

僕は、必死にドアを押さえた。

「お願いします。奈月さんのことを、とても心配しているんです」

女性は、僕の顔をじっと見つめた。その瞳には、深い悲しみが宿っている。

「…奈月、は…もういません」

僕は、息を呑んだ。

「…いません、って…どういうことですか？」

女性は、沈黙を破り、ゆっくりと語り始めた。

「…奈月は、ずっと病気を患っていました。体が弱く、ほとんど家から出ることができなかったんです」

「病気…？」

「ええ。心臓の病気です。手術をすれば治る見込みもあったのですが…怖くて、ずっと拒否していたんです」

僕は、言葉を失った。

「SNSであなたと知り合ってから、奈月は少しずつ明るくなっていきました。あなたとのメッセージのやり取りが、彼女の心の支えになっていたんです」

「…そんな…」

「でも、彼女の体は、もう限界でした。約束の日の一週間前、奈月は…」

女性は、言葉を詰まらせ、俯いた。

「…亡くなりました」

僕は、全身の力が抜けて、その場にへたり込んだ。

奈月は、死んだ。

信じられない。信じたくない。

「…あなたは、誰なんですか？」

僕は、かすれた声で尋ねた。

女性は、少しの間沈黙した後、答えた。

「…私は、奈月の妹です。彼女が亡くなった後、遺品整理のために、ここに住んでいます」

僕は、立ち上がることができなかった。頭の中は真っ白で、何も考えられない。

妹さんは、僕を部屋に招き入れてくれた。

部屋は、質素だった。古い家具がいくつか置かれているだけで、生活感はあまり感じられない。

妹さんは、棚から一冊のノートを取り出し、僕に差し出した。

「これは、奈月があなたとのメッセージのやり取りを記録していたものです」

僕は、震える手でノートを受け取った。

ページをめくると、そこには、僕とのメッセージが丁寧に書き写されていた。

「今日、初めてあなたとメッセージを交換しました。音楽の趣味が合う人がいて、とても嬉しいです」

「今日は、あなたの好きなバンドの話で盛り上がりました。私も、そのバンドを聴いてみようと思います」

「あなたの言葉は、いつも私を励ましてくれます。ありがとう」

僕は、涙が止まらなかった。

奈月は、僕とのメッセージを、こんなにも大切にしてくれていたんだ。

ノートの最後のページには、こう書かれていた。

「あなたに会いたい。あなたの笑顔が見たい。でも、私の体は、もう限界かもしれません。それでも、私は、あなたに会えることを信じています」

僕は、ノートを胸に抱きしめ、嗚咽した。

妹さんは、静かに僕の肩に手を置いた。

「奈月は、あなたに会えることを、本当に楽しみにしていたんです。でも、それが叶わなくなって…とても残念だったと思います」

僕は、顔を上げ、妹さんを見つめた。

「僕は…奈月さんのことを、何も知らなかった。彼女が病気であることも、もうすぐ死んでしまうことも…」

「それは、奈月が望まなかったからです。彼女は、あなたに心配をかけたくなかった。ただ、あなたとの繋がりを、大切にしたかったんです」

僕は、再び涙を流した。

「奈月は、あなたに、感謝していました。あなたのおかげで、彼女は、最後の時間を、笑顔で過ごすことができたんです」

妹さんの言葉は、僕の心を少しだけ癒してくれた。

僕は、妹さんに、奈月との出会い、メッセージのやり取り、そして、彼女に会いたかったという思いを、全て語った。

妹さんは、静かに僕の話を聞いてくれた。

そして、最後に、こう言った。

「奈月は、あなたが来てくれることを、きっと喜んでいると思います」

僕は、夕暮荘を後にした。

夕焼けが、空を赤く染めている。蝉の声は、相変わらずうるさい。

でも、僕の心は、少しだけ晴れていた。

奈月は、もういない。でも、彼女との繋がりは、確かに存在していた。

僕は、彼女との思い出を胸に、生きていこうと思う。

そして、いつか、彼女に会える日まで、僕は、彼女との約束を、守り続けようと思う。

あのノートに綴られた、数々の言葉を胸に。そして、彼女の名前を、心の中でそっと呟くのだ。

「奈月ちゃんだよ～」と、あの優しい声で、今もどこかで笑っているかもしれない彼女を想いながら。