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Skebで納品したアニメーションのまとめです
funboxで上げていたものも含みます

24種　合計1025秒

使用させていただいた音声素材
Honey　Drop
アメボ！キャンディボイス
月に憑かれたピエロ

■ 褪せたキャンディの残響

「ふぅ……」

茜色の夕陽が、窓ガラスを透過して部屋に橙色の絵の具を塗り広げていた。僕は、使い古されたノートパソコンの画面をじっと見つめている。そこには、無数のアニメーションファイルが並んでいた。24種類、合計1025秒。Skebやfunboxに納品した、僕のささやかな創造の痕跡たちだ。

「これで、全部かな」

指先が、マウスのホイールをゆっくりと滑らせる。画面には、甘く、切なく、時に歪んだ世界が展開されていた。キラキラと光るキャンディ、涙を湛えた瞳、歪んだ笑顔、そして、どこか遠くを見つめるピエロ。どれも、僕が心を込めて作り上げた、短い物語たちだ。

「Honey Drop…」

一番最初に納品したアニメーションだ。蜂蜜のように甘く、それでいて少しだけ苦い、淡い初恋の記憶。雨上がりの道端で、偶然手にしたキャンディの味。そんな甘酸っぱい感情を、淡いピンクと水色のグラデーションで表現した。依頼主の「甘くて切ない、そんな感じのアニメーションが欲しい」という言葉を、僕はあの時、全身で受け止めた。

「アメボ！キャンディボイス…」

これは、もっと挑戦的だった。依頼主からの「元気いっぱいの、でもどこか危うい、そんな女の子の声に合うアニメーション」というリクエストに、僕は全力で応えた。サイケデリックな色彩と、予測不能な動き。キャンディの破裂音にも似た、刺激的なサウンド。納品した時、依頼主から「予想以上でした！最高です！」とメッセージが届いた時の、あの高揚感は忘れられない。

「月に憑かれたピエロ…」

これは、一番苦労した作品だ。依頼主からの「月夜に一人、悲しみを抱えるピエロ」という抽象的なテーマ。僕は、静寂と孤独、そして秘められた悲劇を表現しようと、ひたすら描いた。月の光に照らされた、寂しげなピエロの横顔。彼の胸に秘められた、誰にも見せない涙。使用した音声素材は、静かで、それでいて心に深く響くメロディ。納品後、依頼主からは「言葉になりません…ありがとうございます」という、短い、しかし重みのあるメッセージが届いた。

これらのアニメーションは、僕の数少ない「生きた証」なのかもしれない。SNSのタイムラインを流れていく、刹那的な情報の中で、僕の作品は誰かの心に、ほんの一瞬でも留まるのだろうか。

「funboxで上げていたものも含みます」

Skeb以外にも、個人的な作品や、試験的な試みを投稿していたプラットフォーム。そこにも、数多くのアニメーションが眠っている。

「ほら、これは…」

指が、あるファイルの上で止まる。それは、実験的に描いた、水彩画のようなタッチのアニメーション。淡い光の粒子が舞う、幻想的な風景。使用した音声素材は、鳥のさえずりと、風の音。自然の息吹を感じさせる、穏やかな作品だった。

「そして、これは…」

別のファイルを開く。こちらは、もっとデジタルな、無機質な雰囲気。幾何学的な図形が、リズミカルに変化していく。使用した音声素材は、電子音と、人工的なビート。都市の喧騒と、現代社会の匿名性を表現したつもりだ。

僕がアニメーションを作るのは、何のためだろう。自己表現？ 依頼主とのコミュニケーション？ それとも、ただ単に、この「描く」という行為が好きなだけなのだろうか。

「アメボ！キャンディボイス」の依頼主は、若い女性だった。彼女は、自分の声に自信が持てないと言っていた。僕のアニメーションを見て、「私の声、こんな風に表現できるんだ！」と、涙ぐんで喜んでくれた。あの時の彼女の笑顔を思い出すと、胸が温かくなる。

「月に憑かれたピエロ」の依頼主は、年配の男性だった。彼は、失くした大切な人を想って、そんなアニメーションを求めていたのだと、後で知った。僕の作品が、彼の心の傷を少しでも癒すことができたのだろうか。そんなことを考えると、身が引き締まる思いがする。

「Honey Drop」の依頼主は、学生だった。彼は、片思いの相手に、このアニメーションを贈りたいと言っていた。僕が描いた、甘くて切ない世界が、彼の恋の応援歌になれたら、それ以上の幸せはない。

彼らの、それぞれの想い。彼らが僕に託した、それぞれの物語。僕は、その断片を受け取り、形にして、そして彼らに返した。それは、まるで、褪せたキャンディの欠片を拾い集め、新しいキャンディに作り変えるような作業なのかもしれない。

「全部、褪せていくのかな…」

ふと、そんな寂しさが胸をよぎった。僕のアニメーションも、時間と共に、色褪せていくのだろうか。依頼主の記憶からも、やがて消え去ってしまうのだろうか。

でも、それでもいいのかもしれない。

刹那的な美しさ。 ephemeral な輝き。

キャンディだって、いつか溶けてしまう。でも、その一瞬の甘さは、確かに心に残る。

僕のアニメーションも、きっとそうだ。

誰かの心に、ほんの一瞬、甘く、切なく、あるいは刺激的な余韻を残す。

そして、また新しいキャンディが生まれるように、僕もまた、新しいアニメーションを生み出していく。

「さあ、次は何を描こうかな」

僕は、ノートパソコンの画面を閉じ、窓の外に広がる、茜色の空を見上げた。夕陽の光が、僕の顔を優しく照らしている。

使用した音声素材。

Honey Drop.
アメボ！キャンディボイス.
月に憑かれたピエロ.

これらの名前を、心の中で静かに反芻する。

僕の創造の源泉。僕の、褪せたキャンディの残響。

また、新しい物語を紡ぐために、僕の指先は、静かに、しかし力強く、キーボードへと向かうのだった。