【二次エロ】怪談部【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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■ 怪談部

夏休みが始まり、蝉の声がアスファルトを焦がすような熱気となって町に降り注いでいた。高校生になったばかりの僕は、期待と不安が入り混じった感情を抱えながら、旧校舎の片隅にある「怪談部」の部室へと足を踏み入れた。

「あ、新部員さん？」

部屋の奥から、ひんやりとした、それでいてどこか芯のある声が響いた。顔を上げると、そこには長身で細身の先輩が、古びた椅子に腰掛け、窓の外をぼんやりと眺めていた。先輩の顔は、薄暗い部室の照明にもかかわらず、どこか儚げで、吸い込まれそうなほど透き通っていた。

「は、はい。一年の一ノ瀬です。今日から入部させていただきました。」

僕はどもりながら挨拶した。部室は、薄暗く、埃っぽい匂いがした。壁には、誰かが描いたのか、意味不明な模様や、不気味な絵が貼られている。机の上には、古びた書籍や、意味ありげな写真が散乱していた。

「一ノ瀬くん。俺は二年の中条。怪談部部長だ。」

先輩は、ゆっくりと立ち上がり、僕の方へ歩み寄ってきた。その足音は、まるで床に吸い込まれるかのように静かだった。

「怪談部、ですか。あの、どういった活動をされているんですか？」

僕は、期待半分、恐怖半分といった複雑な心境で尋ねた。噂では、この怪談部は、ただ怪談話をするだけではなく、実際に怪奇現象を追い求めているとか、そういう話も耳にしていたからだ。

「活動、か。まあ、強いて言えば、この世の理不尽な出来事、説明のつかない現象、そういったものを探求する、かな。」

中条先輩は、そう言うと、僕の目を見つめた。その瞳は、闇を映し出す湖のように深く、底知れない何かを秘めているように見えた。

「理不尽な出来事…ですか。」

「そう。例えば、君は『理由なき悲鳴』って聞いたことあるか？」

「理由なき悲鳴…？」

「ああ。夜中に、誰かに追われているわけでも、危険な目に遭っているわけでもないのに、突然、悲鳴を上げ続ける人がいるらしい。その悲鳴は、聞いているこちらまで、理由もなく恐怖に囚われてしまうんだ。」

中条先輩は、まるで自分の体験談のように語った。その声には、真実味があり、僕は思わず背筋が寒くなった。

「そんなこと、あるんですか…？」

「この世は、僕たちが思っている以上に、不可解なもので満ち溢れている。怪談部はその、僕たちの知らない『裏側』に触れるための場所だ。」

中条先輩は、そう言って、部室の窓の外に目をやった。夕陽が、校舎の窓ガラスを茜色に染めていた。

それから、夏休みの間、僕は毎日部室に通った。中条先輩は、怪談話の収集だけでなく、様々な調査活動も行っていた。廃墟巡り、心霊スポットへの潜入、そして、時には、奇妙な噂の真相を確かめるために、夜の街を彷徨うこともあった。

ある日、僕たちは、街外れの古い洋館に足を踏み入れた。そこは、かつて名家の当主が、謎の死を遂げたという曰く付きの場所だった。洋館の中は、ひんやりとした空気が漂い、埃っぽい絨毯が足音を吸い込んだ。

「ここには、昔、奥さんがいたんだ。旦那さんが亡くなった後、一人で住み続けていたんだけど、ある日突然、姿を消したらしい。そして、それ以来、この洋館からは、夜な夜な、すすり泣くような声が聞こえるという噂なんだ。」

中条先輩は、そう言いながら、シャンデリアの残骸を見上げていた。天井からは、蜘蛛の巣が垂れ下がり、不気味な影を落としていた。

僕たちは、懐中電灯の明かりを頼りに、洋館の中を探索した。二階の寝室で、僕は、古びた鏡台の前に座っていた。鏡には、埃が積もり、よく見えない。

「中条先輩、この鏡、なんか変なんです。」

僕がそう言うと、中条先輩が近づいてきた。

「どうした？」

「なんか…鏡の中に、誰かの顔が映っているような気がするんです。でも、はっきりとは…」

中条先輩は、僕の隣に立ち、鏡を覗き込んだ。

「…確かに、妙な模様があるな。まるで、誰かが、指でなぞった跡のようだ。」

その時、突然、部屋の空気が一層冷たくなった。僕たちは、思わず身を震わせた。

「…っ！」

中条先輩が、息を呑んだ。僕も、鏡に視線を戻した。すると、鏡の表面に、かすかに、誰かの顔が浮かび上がっていた。それは、悲しげな表情をした、若い女性の顔だった。

「…奥さん…？」

僕が、震える声で呟いた。

その瞬間、鏡の中の女性の顔が、ゆっくりと僕の方を向いた。そして、その目から、一筋の涙が流れ落ちた。

「きゃあああああ！」

僕は、思わず悲鳴を上げた。中条先輩も、驚いた表情で僕を見つめていた。

「一ノ瀬くん、落ち着け！」

中条先輩は、僕の肩を掴んだ。

「鏡が、揺れてる…！」

僕がそう言うと、鏡は、まるで水面のように揺らめき始めた。そして、鏡の中から、微かな声が聞こえてきた。

「…助けて…」

その声は、あまりにも弱々しく、悲痛だった。

「…奥さん…？」

中条先輩が、慎重に呟いた。

「…孤独…寂しい…」

鏡の中から聞こえてくる声は、次第に大きくなっていった。そして、鏡の表面に、さらに鮮明な女性の顔が浮かび上がった。

「…お願い…誰か…」

その女性の顔は、あまりにも哀れで、僕の胸を締め付けた。

「…助けて…」

その言葉が、最後の言葉だった。

突然、鏡は、元の状態に戻った。鏡の表面には、埃しか映っていなかった。

「…何だったんだ…？」

僕は、まだ震えが止まらなかった。中条先輩も、顔色を変えていた。

「…あれは、奥さんの『残像』だろう。未練や、孤独を抱えたまま、この世を彷徨っているのかもしれない。」

中条先輩は、そう言って、静かに鏡台から離れた。

その日以来、僕の怪談部への見方は、大きく変わった。単なる噂話や、怖い話を聞くだけの場所ではなかった。そこには、僕たちの知らない、しかし確かに存在する、哀しみや、悲鳴、そして、救いを求める声が、確かにあった。

夏休みは、もうすぐ終わろうとしていた。蝉の声も、次第に弱々しくなってきた。部室には、相変わらず、埃っぽい匂いと、薄暗い照明が満ちていた。

「一ノ瀬くん、来週から二学期だ。怪談部の活動も、また本格化する。」

中条先輩は、そう言って、僕に微笑みかけた。その笑顔は、どこか寂しげで、しかし、確かな決意を秘めているように見えた。

「はい、先輩。僕も、もっと、この世の『裏側』に触れてみたいです。」

僕は、そう答えた。怪談部での日々は、僕に、恐怖だけでなく、人間という存在の、哀しみや、孤独、そして、かすかな希望をも見せてくれた。この夏休みの経験は、僕の人生において、決して忘れられない、特別なものとなるだろう。

そして、来たる秋、怪談部は、また新たな怪奇現象、そして、そこで泣いている魂の声を、求めて、彷徨い続けるのだろう。僕もまた、その一員として。