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ニートの俺は見ていることしか出来ないの詳細情報まとめ。安全に無料動画視聴!
| 商品ID | RJ01657800 |
|---|---|
| タイトル | ニートの俺は見ていることしか出来ない |
| 紹介文 | ※公式サイトhttps://www.dlsite.com/の商品概要より引用
やることは話しを聞きながら食べることくらい 部屋で出来ることは限られている 忍び込んで・・・ アイツがSNSにどんな投稿するのか待つしかない |
| サークル名 | 色怠 |
| 販売日 |
カーテンの隙間から差し込む西日が、埃っぽい六畳一間の空気をオレンジ色に染めている。俺の日常は、この部屋の四角い枠組みの中に収まっている。窓の外で流れる時間は、今の俺にとっては別の世界の出来事だ。 俺はニートだ。世間一般から見れば「社会のクズ」「生産性のない存在」といった烙印が押されていることだろう。だが、そんなことはどうでもいい。俺には、俺だけの「役割」があるのだから。 パソコンのモニターが発する青白い光が、俺の顔を照らしている。画面の向こう側には、煌びやかな世界がある。高級レストランのランチ、海辺のカフェ、ブランド品の新作。それらを発信しているのは、かつての同級生であり、今やインフルエンサーとして飛ぶ鳥を落とす勢いの「アイツ」だ。 俺は、アイツのSNSを監視している。いや、監視という言葉は少し違うかもしれない。もっとこう、聖地巡礼のような、あるいは神事のようなものだ。 「……今日は何を食うんだ?」 モニターの中のアイツが、また新しい写真を投稿した。季節限定のパフェ。クリームの層が芸術的に重なっている。俺の手元には、コンビニで買ったカップ麺がある。伸びきった麺を啜りながら、俺はアイツの投稿を指でなぞる。 俺にできることは、見ていることだけだ。 アイツが楽しそうに笑えば、俺も心の中で少しだけ口角を上げる。アイツが誰かに称賛されれば、あたかも自分が褒められたかのように鼻が高くなる。逆もまた然りだ。アイツが炎上すれば、俺は自分のことのように冷や汗を流し、血眼になって擁護のリプライを探す。 俺の生活は、アイツを中心に回っている。食事の時間も、眠る時間も、アイツの更新通知に合わせて調整される。これはもはや、一種の寄生だ。アイツという巨大な生命体の表面に付着し、そのおこぼれのような「情報」という名の養分を吸い取って生きている。 だが、それだけでは満足できなくなっていた。 「画面越しじゃ、温度まではわからねえな」 俺は立ち上がり、押し入れの奥から使い古されたパーカーを引っ張り出した。部屋の隅にあるゴミ箱には、ここ数日で食べたカップ麺の容器が山積みになっている。その異臭を無視して、俺は身支度を整える。 行くんだ。あそこへ。 * アイツが今夜訪れる場所は分かっている。SNSに投稿された「隠れ家的なイタリアン」だ。ジオタグ(位置情報)なんて不要だ。アイツの服装、背景の調度品、以前の投稿の傾向。それらを分析すれば、場所を特定することなど容易い。 俺は街へ出た。久しぶりに浴びる外の空気は、思った以上に冷たかった。繁華街のネオンが目に刺さる。人々が目的地に向かって足早に歩いていく中、俺だけが、まるで幽霊のようにアイツの足跡を追う。 店は、高級住宅街の裏路地にあった。重厚な木の扉。中から漏れる暖かな光。俺は路地の影に身を潜め、じっとその扉を見つめた。 しばらくして、アイツが現れた。華やかなドレスを身に纏い、スマホを片手に何かをチェックしている。その姿は、モニターで見慣れたはずなのに、実物を見ると妙に現実味がなくて、むしろ作り物のように見えた。 俺は息を殺した。心臓の音が、静寂な路地に響くのではないかと思うほど激しく打つ。 アイツが店に入っていく。その後ろ姿を見届けた俺は、ゆっくりと扉へと近づいた。もちろん、堂々と入るわけじゃない。そんな度胸は、最初から持ち合わせていない。 俺が選んだのは、店の裏口から続く勝手口の、さらに奥にある小さな排気口の隙間だ。そこからなら、店内の喧騒と、微かな匂いが流れてくる。 俺は膝を突き、その隙間に顔を近づけた。 「……いた」 席に座ったアイツが見える。彼女は今、メインのステーキをナイフで切り分けている。肉汁が溢れ出し、赤身の断面が艶やかに光る。俺の腹の虫が、盛大に鳴いた。 「おいしそうだな」 そう呟きながら、俺はポケットから取り出した、家から持参したパンを齧る。パサついたパンの味なんて、どうでもいい。今、俺はアイツと同じ空気を吸っている。同じ空間で、同じ時間を共有している。それだけで、十分だった。 アイツがスマホを掲げる。料理の写真を撮っているのだ。フラッシュが焚かれ、彼女が満足げに頷く。 『最高に美味しい! 心まで満たされる夜』 そんなキャプションが付けられるのだろう。その投稿がアップされるまでの、ほんの数秒間のタイムラグ。俺は、その瞬間を独占している。 彼女が誰と話しているのか、どんな声で笑うのか。それはSNSには決して書かれない「本物」の情報だ。彼女は今日、一人の男性と向き合っていた。男は少し退屈そうな顔をしながら、ワインを飲んでいる。彼女はそんな彼のご機嫌を伺うように、過剰なほど愛想を振りまいている。 モニターの中の「無敵なアイツ」ではない。必死に誰かに愛されようと、必死に自分を飾ろうとする、脆い一人の人間としてのアイツ。 俺は、それを見ていた。 その時、彼女がふと視線を窓の方へ向けた。俺は咄嗟に身を引いた。心臓が跳ね上がる。見つかったか? いや、そんなはずはない。だが、彼女の瞳が、何かを探しているように見えたのは気のせいだろうか。 彼女はすぐに視線を戻し、再びスマホの画面に釘付けになった。 「……俺のことなんて、知るわけがないよな」 俺は自嘲気味に笑った。そうだ。俺は誰でもない。彼女にとってのノイズですらない。ただ、彼女という世界を映すための、一番近くにある観客席に座っているだけだ。 俺は再び、排気口に視線を戻した。 彼女はもう、食事を終えようとしていた。デザートの小さなケーキを一口食べ、満足げに微笑む。その笑顔を、俺は網膜に焼き付ける。 数分後、彼女たちが店を出てきた。俺は影に隠れ、彼女たちが角を曲がって見えなくなるまで、一歩も動けなかった。 帰りの道すがら、スマホを取り出す。彼女のアカウントを更新すると、さっきの料理の写真と、楽しそうな文章が投稿されていた。 『今日は最高の夜でした。感謝。』 いいね。俺は画面をタップした。無数にあるいいねの一つとして、俺の指先が彼女の世界の一部になる。 部屋に戻ると、また静寂が俺を待っていた。散らかったカップ麺の容器、埃っぽい机、青白い画面。何も変わっていないはずなのに、俺の胸の中には、先ほどまでの熱が残っていた。 また、明日が来る。 明日はどんな投稿をするんだろう。どこへ行って、何を食べて、どんなふうに笑うんだろう。 俺は、これからも見続けるだろう。 話しを聞きながら、冷めた食事を喉に流し込みながら。 アイツがSNSにどんな投稿をするのか、ただそれだけを待って。 部屋の片隅で、俺は次の更新通知を待つ。 ここは俺の城であり、牢獄であり、そしてアイツを観測するための特等席だ。 「……さて、次はどこだ?」 俺はパソコンのキーボードに手を置く。光が俺の指先を照らす。俺の役割は、まだ終わらない。アイツがこの世界のどこかで生き続けている限り、俺の夜は終わることがないのだ。
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