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スキルシステム

・スキルによって戦略性に幅がでます

・またクリア後のお楽しみ要素として洗脳度などを色々と調整できたりします







誘惑システム

・街を散策中にヒロインに誘惑されることがあります

・誘惑に乗ると店ではできないことも出来たりしますが好感度が下がったりしてしまいます

■ 迷宮都市アステリアの誘惑

薄暗いネオンが雨に濡れた石畳を妖しく照らし出す。迷宮都市アステリア。ここでは、常識は通用しない。欲望が渦巻き、魔術と裏社会が絡み合うこの街で、私は日銭を稼ぐための奇妙な仕事に手を染めていた。

「いらっしゃいませ、お客様。今宵、あなた様を魅了するのは、どの子でしょう？」

声に振り返ると、そこにいたのは、艶やかな紫色の髪をした女給だった。彼女の背後には、色とりどりの衣装を纏った数名の女性たちが、こちらを値踏みするような視線で見つめている。ここは「セレスティア」、アステリアでも指折りの、いや、指一本で数えられるほどの「特殊な」店だった。

「えっと、初めてで…」

私はどもりながら答えた。この店に来たのは、情報収集のためだ。数日前から、街の一部で奇妙な事件が頻発していた。人々が突然、理性を失ったように凶暴化し、仲間を襲うという。その背後には、ある強力な魔術師が関わっているという噂があった。そして、その魔術師の隠れ家が、この「セレスティア」の奥にあるという情報を掴んだのだ。

「初めてのお客様には、私がおすすめをご案内させていただきますわ」

女給は微笑み、私を店の奥へと案内した。彼女の名はリリス。この店の看板娘であり、情報屋でもあると、事前に聞いていた。

「ここは、ただの歓楽街ではございませんの。お客様の欲望を刺激し、そして、それを満たすための場所。ここでは、現実では決して味わえない体験が待っておりますわ」

リリスはそう言いながら、優雅な仕草で私にワインを勧めた。その瞳には、確かな知性と、底知れぬ魅力を宿している。

「例えば、お客様が望めば、その方だけの特別な『スキル』を発現させることも可能でございます」

「スキル？」

「ええ。例えば、『魅了』『幻術』『隠密』…様々ですわ。それらを駆使することで、お客様はより一層、この夜を深く、濃密に楽しむことができます。そして、それは単なる娯楽に留まりません。この街で生き抜くための、強力な武器にもなり得ますの」

リリスの言葉は、私の耳に甘く響いた。確かに、この街で「スキル」は、生存に不可欠な要素だ。しかし、ここでそれを得るということは、一体何を意味するのだろうか。

「ただし、スキルには代償もございますわ」

リリスは、私の首元にそっと触れた。その指先が触れた瞬間、微かな熱が走った。

「『洗脳度』…お客様の理性が、どれだけ私達に染まるか、という指標ですわ。高すぎれば、二度とこの街から出られなくなるかもしれません。でも、適度であれば、より豊かで、刺激的な日常が手に入りますのよ？」

彼女の言葉には、誘惑と警告が入り混じっていた。私は、あくまで情報収集が目的だ。この「洗脳度」というものは、絶対に上げたくない。

「では、まずは『誘惑』をお試しになってみませんか？」

リリスは、私を店の奥にある個室へと案内した。部屋の中央には、ふかふかのソファが置かれ、柔らかな照明が空間を包み込んでいる。

「街を散策中、私はあなた様を『誘惑』するかもしれませんわ。その時、お客様がそれに『乗る』か『拒む』か。それによって、また物語は変わってまいります」

リリスは、私の耳元で囁いた。その吐息が、肌を粟立たせる。

「誘惑に乗れば、ここではできないような、もっと、もっと刺激的な体験が待っておりますわ。ただし…」

彼女は、私の表情をじっと見つめた。

「好感度が下がりますのよ。私達への、そして、おそらくは、あなた様自身の、本来の目的への、ね」

「好感度…」

それは、この店のゲームのルールの一つらしい。誘惑に乗ることで、私自身への、あるいは本来の目的への「好感度」が下がる。つまり、誘惑に身を委ねるほど、私はこの店、そしておそらくはアステリアの「深み」にはまっていくということだ。

「例えば、今、この瞬間…」

リリスの指が、私の顎に触れた。そして、ゆっくりと顔を近づけてくる。彼女の瞳が、私を吸い込むように見つめている。

「この、私との『誘惑』に、乗ってみます？」

私の心臓が、激しく鼓動した。このまま、彼女の誘惑に身を委ねてしまえば、私はきっと、この店の魅力に囚われるだろう。しかし、それ以上に、この街の闇の奥底に潜む真実を、私は見つけ出さなければならない。

「…いいえ」

私は、震える声で拒んだ。リリスの瞳が、一瞬、僅かに揺らいだが、すぐにいつもの妖艶な微笑みに戻った。

「あら、残念。でも、いつでもお声をおかけくださいね。私は、いつでもお客様をお待ちしておりますわ」

リリスは、そう言って部屋を出て行った。私は、一人、ソファに座り込み、荒い息遣いを整えた。

この街は、想像以上に危険だ。そして、この「セレスティア」は、その危険の中心にある。スキルシステム、誘惑システム。それらは、この店がプレイヤーを惹きつけるための、巧妙な罠なのだろう。

私は、この罠を潜り抜け、真実へとたどり着けるのだろうか。それとも、この迷宮都市アステリアの夜に、永遠に惑わされてしまうのだろうか。

（続く）