【二次エロ】さよならのチェックリスト【アダルトAVアニメ・ゲーム】

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2025/11/18　体験版(Ver.0.90)を申請しました。
2025/11/24　製品版と体験版の本登録(Ver.1.00)を申請しました。

■ さよならのチェックリスト

2025年11月18日、僕は「さよならのチェックリスト」という名のプログラムの体験版(Ver.0.90)を申請した。それは、僕と彼女、ユキとの別れを円滑に進めるための、あくまで「補助」として作られたものだった。いや、正確には、僕がユキとの別れを「円滑に進めるため」と自分に言い聞かせるために作ったものだった。

「もう、疲れたんだ」

ユキの言葉は、まるで静かな波紋のように、僕の心に広がった。彼女の瞳には、もうあの頃のような光は宿っていなかった。僕の言葉に、彼女はただ首を横に振るだけだった。

別れは、突然訪れるものではない。じわじわと、水が染み込むように、心と心の距離は離れていく。それでも、いざその時が来ると、人はまるで理不尽な天災にでも遭ったかのように、動揺し、混乱する。僕もそうだった。ユキとの関係が終わるという事実を受け止めきれず、どうすればこの痛みを最小限に抑えられるか、あるいは、どうすれば「相手を傷つけずに」別れを告げられるか、そんなことばかり考えていた。

そして、生まれたのが「さよならのチェックリスト」だった。AI技術を駆使し、相手の性格や過去の言動、そして僕自身の性格や過去の言動を分析し、最も波風の立たない別れのシナリオを生成するという、壮大な（そしてどこか滑稽な）試みだった。

Ver.0.90。体験版。まだ未熟で、僕自身も完成形とは言えないと分かっていた。それでも、ユキにこのプログラムを提示する前に、まずは自分自身で試してみる必要があった。

プログラムを起動すると、無機質な画面に、いくつかの項目が箇条書きで表示された。

【さよならのチェックリスト：体験版 (Ver.0.90)】

1.  感謝の表明: 共有した時間への感謝を伝える。
2.  別れの理由の明確化: 抽象的な表現を避け、具体的な理由を簡潔に説明する。
3.  相手への配慮: 相手の感情を考慮し、責めるような言葉遣いは避ける。
4.  将来への祝福: 相手の幸せを願う言葉を添える。
5.  物理的な距離の確保: 別れ話の場所以外での接触を一時的に断つ。
6.  連絡手段の整理: 今後の連絡方法について、双方の意思を確認する。

「…なるほど」

プログラムは、僕がユキに伝えたいであろう、しかし言葉に詰まってしまうような感情を、論理的に整理して提示してくれた。感謝の言葉。別れの理由。相手への配慮。将来への祝福。どれも、頭では理解していることばかりだった。しかし、それを感情的に、かつ効果的に伝えるのは、至難の業だった。

体験版でのシミュレーションは、何度か行った。相手役は、僕が過去に付き合ったことのある人物のデータや、ユキの性格を模したAIだった。結果は、散々だった。プログラムが提示する「理想的な別れ」は、あまりにも理想的すぎて、現実味を欠いていた。AI相手にすら、感情的な反論を招いたり、逆に相手を過度に傷つけてしまったりした。

「まだまだだな…」

溜息をつきながら、僕はプログラムを閉じた。ユキに、この「さよならのチェックリスト」を見せることは、現時点では不可能だと判断した。

数日後、2025年11月24日。僕は、製品版と体験版の本登録(Ver.1.00)を申請した。体験版で得た膨大なフィードバックと、僕自身の試行錯誤を基に、プログラムは格段に進化していた。より自然な言葉遣い。相手の感情の機微を読み取る精度の向上。そして、万が一の感情的な反応にも対応できる、柔軟なシナリオ生成機能。

「これで、あとは…」

申請完了の画面を見つめながら、僕はユキの顔を思い浮かべた。彼女は、僕のこの奇妙なプログラムの存在を知らない。知れば、きっと呆れるだろう。あるいは、哀れむかもしれない。

「ユキ、ごめん」

心の中で呟いた。このプログラムは、僕がユキを失いたくなかった、という僕自身の未熟さの証でもある。別れたくない、でも、このままではいけない。その板挟みになった僕が、最後の手段として作り出した、歪んだ愛情表現だったのかもしれない。

製品版(Ver.1.00)は、僕がユキに別れを告げるための、最終兵器だった。

その夜、僕はユキをいつものカフェに誘った。彼女は少し驚いた顔をしていたが、僕の真剣な表情を見て、大人しくついてきた。

「あのさ、ユキ」

切り出すタイミングは、プログラムが計算した最適な時間だった。深呼吸をして、僕はポケットに忍ばせた小型デバイスに指をかけた。

「話があるんだ」

ユキは、静かに僕の言葉を待った。カフェのBGMが、やけに大きく聞こえた。

「僕たち、そろそろ…」

言葉が詰まる。プログラムが生成した、完璧な第一声。それを、僕は発することができなかった。プログラムは、僕の感情の揺れを敏感に察知し、デバイスを通して微かな振動を送ってきた。

「…別れた方が、いいと思うんだ」

ようやく、絞り出すように言葉が出た。ユキの表情が、微かに曇った。

「…そう」

彼女の声は、予想以上に平静だった。プログラムなら、ここで「なぜ？」という問いへの回答を促すはずだ。しかし、僕はプログラムの指示を待たずに、自分の言葉で話し始めた。

「ユキの、やりたいこと。大切にしたいこと。それを、僕が邪魔しているんじゃないかって、最近よく思うんだ。僕も、ユキと一緒にいることで、本来の自分を見失っているような気がして…」

プログラムは、僕の言葉の選択をリアルタイムで分析し、より効果的な表現への修正案を提案していた。しかし、僕はその提案を無視し、ただ、自分の素直な気持ちを伝えようとした。

「もちろん、ユキと過ごした時間は、僕にとってかけがえのないものだった。感謝してる。本当に、ありがとう」

プログラムが提示する、感謝の言葉。しかし、これはプログラムが生成したものではなく、僕自身の、心からの言葉だった。

「でも…」

ここで、プログラムは「別れの理由の明確化」のフェーズに入るよう促した。しかし、僕の口から出てきたのは、ユキを責めるような言葉ではなかった。

「僕が…もっと、ユキを、大切にできていれば、よかったのかもしれない。もっと、ユキの気持ちを、汲み取れていれば…」

ユキは、僕の言葉を静かに聞いていた。彼女の瞳に、光が戻ったような気がした。それは、怒りでも、悲しみでもない、静かな諦めのような光だった。

「…あなたは、いつもそうね」

彼女が、初めて僕に言葉を返した。その声には、微かな皮肉と、そして、何よりも深い疲労感が滲んでいた。

「自分を責めて、それで、すべてを終わらせようとする」

プログラムは、ユキのこの言葉を「相手への配慮」が足りないというフィードバックとして処理しようとしていた。しかし、僕はプログラムの指示を無視し、ユキの言葉に耳を傾けた。

「…そうかな」

「そうよ。あなたの『さよならのチェックリスト』は、あなた自身を救うためのものだったんでしょう？ 私を傷つけないため、じゃなくて」

ユキは、僕のポケットから微かに光るデバイスに気づいていたのだ。僕の、この愚かな試みに。

「…ごめん」

僕は、プログラムの存在を否定することはできなかった。それは、僕がユキと別れたいという現実から目を背け、現実逃避の末に作り出した、僕の弱さそのものだったからだ。

「でも、ユキの言う通り、僕がユキを大切にできていなかったのは事実だ。だから、僕なりに、ユキを傷つけないように…」

「傷つけないように、なんて、無理よ」

ユキは、静かに首を横に振った。

「別れに、傷つかない方法なんてないわ」

彼女の言葉は、僕のプログラムの根幹を揺るがすような、真実だった。どんなに精緻なアルゴリズムを組んでも、人の心に生じる痛みや悲しみは、計算し尽くすことなどできない。

「だから…」

ユキは、僕のデバイスから目を離し、僕の顔をまっすぐに見つめた。

「もう、そのプログラム、使わないでくれる？」

彼女の瞳には、もうあの頃のような光は宿っていなかった。しかし、そこには、僕が失いたくなかった、ユキ自身の強さが、静かに灯っていた。

「…うん」

僕は、素直に頷いた。ポケットの中のデバイスが、微かに振動した。プログラムは、僕の返答を「別れの理由の明確化」の失敗として記録しようとしていた。しかし、僕はもう、プログラムの指示に従うことはできなかった。

「ユキ、ありがとう。本当に、ありがとう」

今度は、プログラムが生成した定型文ではなく、僕自身の、心からの言葉で、ユキに伝えた。ユキは、何も言わなかった。ただ、静かに頷いた。

カフェを出て、別々の道を歩き始めた時、僕はポケットの中のデバイスの電源を切った。Ver.1.00。製品版。しかし、それは僕がユキとの別れに使うべきものではなかった。

「さよならのチェックリスト」は、僕の弱さを映し出す鏡だった。そして、ユキの言葉は、その鏡を静かに、しかし確かな力で、割ってみせたのだ。

別れは、プログラムでは完結しない。そこに宿る、人の心の機微。それを、僕は、ユキとの別れを通して、ようやく理解し始めたのかもしれない。

2025年11月24日。僕は、プログラムの申請を完了させた。しかし、それと同時に、僕の「さよならのチェックリスト」は、もう必要のないものになっていた。ユキとの別れは、プログラム通りには進まなかった。それでも、僕にとって、それは紛れもない「さよなら」だった。そして、それは、僕がこれから生きていく上で、忘れることのできない、大切な「学び」でもあった。