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お届け介抱デバイスの詳細情報まとめ。安全に無料動画視聴!
| 商品ID | RJ01659050 |
|---|---|
| タイトル | お届け介抱デバイス |
| 紹介文 | ※公式サイトhttps://www.dlsite.com/の商品概要より引用
【ニカ】 ガサツだけど頼りになる女性。 誰に対しても面倒見が良く、上司からも部下からも大人気な先輩。 【ユリナ】 社会人に成り立てのおっちょこちょいな女性。 仕事のミスで怒られた時は、頼りになる先輩に愚痴を聞いてもらったり買い物をしたりしてストレス発散している。 |
| サークル名 | セイギノヤカタ |
| 販売日 |
● 寄り添う光、あるいは、お届け介抱デバイス 「はぁ……終わった……」 オフィスビルから吐き出された夜風は、五月の陽気とは裏腹に、ユリナの冷え切った心に容赦なく吹き付けた。 慣れないヒールが悲鳴を上げている。手元には、顧客への提出資料のデータが破損するという大失態を犯したばかりの、重い罪悪感が残っていた。 ユリナは、スマートフォンの画面を指先で弾く。 『先輩、今からいいですか』 送信ボタンを押す指が震える。五分もしないうちに、既読がついた。 『いいよ。いつもの場所で待ってる』 それだけで、視界が少し滲んだ。 * 待ち合わせ場所の公園には、すでにニカがいた。 彼女は、街灯のオレンジ色の光の下で、手元にある小さな正方形のガジェットをいじっている。 ニカはガサツで有名だ。デスク周りは書類の山だし、豪快な笑い声はオフィス中に響く。けれど、彼女が淹れるコーヒーの温度と、彼女の言葉の選び方は、いつも完璧だった。 「お疲れ、ユリナ」 ニカが顔を上げた。その手にあるガジェットが、ふわりと淡いブルーの光を放つ。 「ニカ先輩……すみません、また迷惑かけて」 「うるさい。謝るくらいなら、その肩の力を抜け」 ニカは隣に腰かけると、例のガジェットをベンチの真ん中に置いた。 それは、会社が最近導入した最新のウェルビーイング端末——通称『お届け介抱デバイス』だ。 心拍数や発汗量からストレスレベルを測定し、その人に今一番必要な「癒やし」を、最適な形で届けるという代物だ。 「これ、今日会社で支給されたんだよ。私のストレス用じゃなくて、後輩のケア用としてね」 「そんなの、機械に頼まなくても先輩だけで十分ですよ」 「ふふ、まあね。でも今日は、これに頼ってみるか」 ニカがデバイスのスイッチを押すと、小さなノイズと共に、心地よいアロマの香りが公園の空気に混ざった。沈丁花の、懐かしい香り。 それと同時に、デバイスから小さな投影光が放たれ、地面に柔らかな花畑のような模様が映し出された。 「すごい……」 「だろ。これ、ただの投影じゃない。脳波に働きかけて、鎮静効果がある周波数を流してるんだってさ」 ユリナは言われるがままに、ベンチに深く身を預けた。 不思議と、先ほどまで頭の中で鳴り響いていた怒鳴り声や、謝罪の言葉の連鎖が、遠のいていくような感覚があった。 「あのね、先輩」 「ん?」 「私、この仕事、向いてないのかもって、今日また思っちゃいました」 ユリナはニカの顔を見ずに、空を見上げた。 「資料のバックアップなんて、基本中の基本じゃないですか。それなのに、こんな初歩的なミスをして……。周りに迷惑かけて、自分の存在意義まで分からなくなって」 沈黙が流れた。デバイスからは、せせらぎのような心地よい音が流れ続けている。 ニカは大きなため息をつくと、ユリナの肩に自分の肩を強くぶつけた。 「痛っ」 「あんたねぇ。存在意義なんて、そんな大層なもの、今のあんたが持ってる必要ある?」 ニカの声は、いつも通り少し乱暴で、でも芯が通っていた。 「私たちは、ただのサラリーマンだよ。あんたが一人でミスしたところで、会社は潰れないし、地球も回る。大事なのは、あんたが明日また、同じミスをしないように工夫するだけ。それ以上でも、それ以下でもない」 「……はい」 「それにな、あんたがミスをして落ち込んでいる姿を見て、安心する奴もいれば、助けてやろうと思う奴もいる。今日のあんたのミスは、私の昨日の失敗よりはマシだったよ」 「え、先輩も失敗するんですか?」 「当たり前だろ! 先月なんか、重要な会議のファイルを全消去しかけて、冷や汗でシャツが透けたんだから」 ニカは豪快に笑った。その姿を見て、ユリナの張り詰めていた糸が、ぷつりと切れる音がした。 ポロポロと、涙がこぼれ落ちる。 「……っ、うわぁぁん!」 泣き声を上げるユリナの頭に、ニカの手がぽんと乗る。 不器用で、力が強くて、少し痛い。けれど、この上なく温かい手だ。 デバイスが反応したのか、先ほどよりも強いブルーの光が、二人の足元を明るく照らした。 周囲の人には、ただの光の集まりに見えるだろう。でも、ユリナには、それが自分を守るための結界のように思えた。 「泣け泣け。明日になったら、その分だけ美味いもん食って忘れるぞ」 「……何食べるか決めてますか?」 「あんたの好きな、あの駅前のコッテリしたラーメンに決まってるだろ。今日は替え玉二つだ」 「それは、食べすぎです……」 「そうだな。じゃあ、スイーツも追加だな」 ニカの適当で、でも確実な優しさに、ユリナは涙を拭った。 デバイスの光が、ゆっくりと消えていく。 バッテリーが切れたのか、あるいは役割を終えたのか。 公園の街灯が、再び現実的な光を取り戻す。 ユリナは立ち上がり、深く深呼吸をした。胸の奥に詰まっていた重石が、少しだけ軽くなっている。 「先輩、ありがとうございます。私、明日も頑張れそうです」 「頑張らなくていいよ。普通にやって。ミスしたら、またここでラーメン食べてやるから」 ニカは立ち上がると、伸びをした。その姿は、どんな最新鋭のデバイスよりも頼もしかった。 ユリナは、彼女の背中を追う。 自分たちが持っているのは、最先端の技術かもしれない。けれど、人間が人間を支えるという行為だけは、どんなに時代が変わっても、この不器用で温かい手触り以上のものにはなり得ないのだ。 「あ、そうだニカ先輩。さっきのガジェット、返却しなくていいんですか?」 「あぁ、あれ? さっき帰りがけに会社に返してきたよ。私の仕事は、あんたの介抱だけだからな」 ニカの言葉に、ユリナは小さく笑った。 都会の夜はまだ冷たいけれど、二人の歩調はいつもと同じ、少しだけ早足の帰路へと向かっていた。 明日にはまた、新しいミスをするかもしれない。 それでも、隣にニカがいる。 それだけで、ユリナという個人の「お届け介抱デバイス」は、常にフル充電の状態にあるのだった。
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