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商品ID RJ01000957
タイトル 東方吸血談・動画版
紹介文 ※公式サイトhttps://www.dlsite.com/の商品概要より引用

東方吸血談・動画版
サークル名 ネロンソフト
販売日

 

## 宵闇の旋律:紅魔館の秘密

紅魔館、それは幻想郷にそびえ立つ、漆黒の城。その深淵なる闇に、古き血を湛える者たちが棲まう。緋色の髪を持つ吸血鬼の姫、レミリア・スカーレット。そして、その忠実なる僕、吸血鬼のメイド、咲夜。二人の紡ぐ物語は、昼と夜、光と影、生と死の狭間を漂う、永遠の旋律。

「咲夜、退屈だわ」

紅魔館の最上階、広間の中央に設置された巨大な玉座に、レミリアは不機嫌そうに呟いた。夕闇が窓の外を鈍色に染め上げ、室内を仄暗い赤色に照らし出している。絨毯に沈むように座り込んだレミリアの傍らには、銀色のトレイに乗せられた、血のように赤いワイングラス。しかし、そのグラスに口を付ける気配はない。

「姫様、何かお望みですか?」

咲夜は、いつものように冷静沈着な声で応えながら、レミリアの前に進み出た。メイド服は純白で、その佇まいはまるで彫刻のよう。夜空を思わせる黒髪は、きっちりとまとめられている。彼女の指先には、無数のナイフが巧みに操られ、空間を切り裂くかのような緊張感を漂わせた。

「退屈なのよ、咲夜。いつものように、外の世界の人間を驚かせるような、刺激的な出来事はないのかしら?」

レミリアは、細く尖った爪で玉座の肘掛けを掻いた。その音は、静寂を破る鋭い響きを帯びている。彼女の顔には、子供のような無邪気さと、老いた吸血鬼の持つ妖艶さが奇妙に混じり合っていた。

「刺激的な出来事、ですか…。最近、博麗神社の巫女が、紅魔館の敷地内をうろついていたようです。しかし、門番である私がお引き取り願いましたが」

咲夜は、レミリアの言葉に微かに眉をひそめた。博麗の巫女、博麗霊夢。幻想郷の均衡を保つ存在であり、紅魔館とは浅からぬ因縁があった。

「ふん、あの神社の巫女ね。いつか、あの娘にも私の血を味わわせてやりたいものだわ」

レミリアは、指先で空中に文字を描くように笑った。その妖しい輝きは、咲夜の瞳にも映り込んでいる。

「姫様、しかし、それは…」

咲夜が何かを言おうとした時、遠くから微かな物音が聞こえてきた。それは、不規則で、どこか焦燥感を帯びた足音。

「何かしら、あの音は?」

レミリアは、玉座から身を起こした。その瞳には、好奇心と、ほんの少しの苛立ちが宿っている。

「恐らく、門番たちが連れてきた迷い人かと」

咲夜は、懐から銀色のナイフを取り出し、指先で回転させた。その刃が、室内の僅かな光を反射して、妖しくきらめいた。

「迷い人? ふふ、これも退屈しのぎには丁度良いかもしれないわね」

レミリアは、唇の端を吊り上げて、ゆっくりと玉座から降りた。その姿は、黒いベルベットの gown のように、床に滑らかに広がる。

「咲夜、連れてきてちょうだい。どんな人間か、この私が直接見てあげないと」

「承知いたしました、姫様」

咲夜は、恭しく頭を下げ、レミリアの先を歩き出した。二人の進む先に、銀色の扉が静かに開く。その先には、薄暗い廊下が続き、やがて、紅魔館の広大な庭園へと通じている。

庭園には、月明かりが静かに降り注ぎ、薔薇の棘が銀色に輝いていた。その中央に、門番であるリリーホワイトと、もう一人の小悪魔が、一人の人間を囲むように立っている。その人間は、疲れ果てた様子で、地面に膝をついていた。

「姫様、お越しになられました」

リリーホワイトが、レミリアに気づき、慌てて声をかけた。その手には、いつものように可愛らしい本が握られている。

「あら、随分と弱っているようね。一体、どうしてこんなところに迷い込んだのかしら?」

レミリアは、その人間の前に歩み寄り、優雅な仕草で顔を覗き込んだ。その瞳には、捕食者のような光が宿っている。

「…お願いです…助けて…ください…」

その人間は、弱々しい声で呟いた。その顔は、恐怖と絶望に歪んでいた。

「助けて、ですって? ふふ、私がお前を助けてあげても良いけれど、その代わりに、私に何かくれるかしら?」

レミリアは、小悪魔のような笑みを浮かべた。その声には、誘惑のような響きがあった。

「何か、とは…?」

「そうね…例えば、お前の…「命」とか?」

レミリアの言葉に、その人間は顔を上げた。その瞳に映るレミリアの姿は、まるで悪魔のようだった。

「姫様、あまり無駄なことはなさらないでください」

咲夜が、静かにレミリアの肩に手を置いた。その声には、制止の響きがあった。

「あら、咲夜、あなたはいつだってつまらないことばかり言うのね。でも、良いわ。今回は、あなたの言うことを聞いてあげましょう」

レミリアは、残念そうに肩をすくめた。そして、その人間から目を離し、咲夜の方を向いた。

「咲夜、この人間をどうにかしてちょうだい。私の部屋に連れて行き、そこで「おもてなし」をしてあげるのよ」

「おもてなし、ですか…」

咲夜は、レミリアの言葉に一瞬戸惑ったような表情を見せたが、すぐにいつもの冷静さを取り戻した。

「承知いたしました、姫様。では、この人間を連れて参ります」

咲夜は、その人間を軽々と抱き上げ、紅魔館の中へと連れ戻った。レミリアは、その背中を眺めながら、満足そうに微笑んだ。

「ふふ、咲夜の「おもてなし」は、いつも楽しみだわ」

レミリアは、そう呟くと、再び玉座へと戻っていった。月明かりは、相変わらず庭園に静かに降り注ぎ、薔薇の棘が銀色に輝いていた。

紅魔館の深淵、レミリアの部屋。そこは、豪華絢爛でありながら、どこか退廃的な雰囲気に満ちていた。壁には、数々の絵画が飾られ、その全てが、血のように赤い色を基調としている。中央には、巨大な棺が置かれ、そこには、美しい女性が横たわっていた。

咲夜は、その人間を棺の前にそっと置いた。その人間は、まだ意識を取り戻していない。

「さて、姫様のお望み通り、あなたを「おもてなし」して差し上げましょう」

咲夜は、懐から細い針を取り出した。その針は、まるで鋭い牙のように、仄かに光っていた。

「あなたは、私が特別に選んだ「器」よ。私の、そして、姫様の、永遠の「糧」となる、ね」

咲夜の言葉は、静かに響き渡り、部屋の奥へと吸い込まれていった。彼女の指先は、慣れた手つきで、その人間の首筋に針を近づける。

「さあ、始まりの時間よ」

その瞬間、部屋の空気が一層冷たく張り詰めた。窓の外では、月が厚い雲に隠れ、紅魔館は完全なる闇に包み込まれた。

***

数日後、幻想郷は静かな賑わいを取り戻していた。博麗神社の巫女、博麗霊夢は、いつものように紅魔館の様子を伺っていた。しかし、最近、紅魔館から漂ってくる気配が、いつもとは少し異なっていた。

「なんだか、紅魔館の空気が…重いわね」

霊夢は、紅魔館の門を睨みながら呟いた。門番であるリリーホワイトは、いつもよりも元気がないように見えた。

「リリー、何かあったの?」

「あ、あの…紅魔館に、新しい「ご主人様」が、お越しになったようで…」

リリーホワイトは、蚊の鳴くような声で答えた。その声には、微かな恐怖が滲んでいた。

「新しいご主人様? まさか、また吸血鬼でも増えたのかしら?」

霊夢は、眉をひそめた。紅魔館の住人は、吸血鬼や妖怪たちであることは知っていたが、最近、何か変わったことがあったのか、気になっていた。

「あの…その…新しいご主人様は…とても、とても、美しい方なのです…」

リリーホワイトは、言葉を詰まらせながら、そう付け加えた。その言葉に、霊夢は訝しげな表情を浮かべた。

「美しい? それは、レミリアのことかしら?」

「いいえ…もっと、もっと、魅力的で…そして、とても…「冷たい」方なのです…」

リリーホワイトの言葉に、霊夢はさらに警戒心を強めた。彼女は、紅魔館の異変を察知し、ゆっくりと門に近づいた。

「ふーん、紅魔館も、また新しい遊びを始めたみたいね。こうしちゃいられないわ」

霊夢は、そう決意し、紅魔館の門を押し開けた。門番たちに注意されることもなく、彼女は紅魔館の奥へと足を踏み入れた。

紅魔館の内部は、相変わらず豪華絢爛であったが、どこか空虚な雰囲気が漂っていた。壁に飾られた絵画は、以前よりも一層、血の色を濃くしていた。

「レミリア! いないのー?」

霊夢は、大声で呼びかけた。しかし、返ってくるのは、静寂ばかり。彼女は、紅魔館の広間へと進み出た。

広間の中央には、レミリアの玉座があった。しかし、その玉座には、誰も座っていない。代わりに、玉座の横に、一枚の黒い羽根が落ちていた。

「これは…?」

霊夢は、その羽根を拾い上げた。それは、どこか寂しげな、そして、どこか力強い、不思議な羽根だった。

その時、広間の奥から、微かな歌声が聞こえてきた。それは、悲しくも美しい、まるで宵闇の旋律のような歌声だった。

「誰…?」

霊夢は、歌声のする方へと向かった。そこには、彼女が見たことのない、一人の女性が立っていた。

その女性は、漆黒の髪を持ち、その瞳は、まるで深淵のように深い赤色をしていた。彼女の纏うドレスは、夜空のように黒く、その裾からは、微かに紫色の光が漏れ出ていた。

「あなたが、新しいご主人様…?」

霊夢が問いかけると、その女性はゆっくりと顔を上げた。その顔には、悲しみと、そして、かすかな微笑みが浮かんでいた。

「いいえ…私は、この紅魔館の…「影」よ」

その女性の声は、まるで風に揺れる羽根のように、儚く、そして、どこか力強かった。

「影、ですか…?」

「そう…永遠に、この城を守り続ける、影…」

女性は、そう言いながら、レミリアの玉座へとゆっくりと近づいた。そして、その玉座にそっと手を触れた。

「姫様は、もう、この城にはいらっしゃらない…」

女性の言葉に、霊夢は息を飲んだ。レミリアは、どこへ行ったのだろうか?

「姫様は…永遠の眠りにつかれたの…だから、私が…この城の「主」となる…」

女性の言葉に、広間の空気が一変した。それまで漂っていた空虚さが消え去り、代わりに、圧倒的な「力」が部屋を満たした。

「でも、安心していらっしゃい…あなたには、何も危害は加えないわ…」

女性は、そう言いながら、霊夢に微笑みかけた。その微笑みには、悪意はなく、ただ、深い悲しみだけがあった。

「紅魔館は、これからも、この場所で…永遠に、咲き続けるでしょう…」

女性は、そう呟き、ゆっくりと姿を消した。まるで、夜の闇に溶け込むように。

霊夢は、広間に取り残され、呆然と立ち尽くしていた。紅魔館の空気が、以前とは全く違うものになっていた。それは、より一層、深淵で、そして、より一層、妖しいものへと変わっていた。

紅魔館の物語は、まだ終わらない。宵闇の旋律は、新たな「主」を得て、これからも、幻想郷に響き渡るだろう。その旋律が、どのような響きを奏でるのか、それは、誰にも分からない。ただ一つ確かなのは、紅魔館は、永遠に、その深淵なる闇と、古き血の物語を紡ぎ続けるということだけだ。

 

 

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