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左側：慎一　中央：ミク　右側：大雅

男子2人はミクの支配下にあり、逆らうことはない。

ちなみにミクは「喰いシリーズ」の一番下の妹。

灰色の空の下、三人は肩を並べて歩いていた。左側を歩く慎一は、いつも通りの無表情で、足元ばかり見ている。右側の大雅は、慎一とは対照的に、どこか緊張した表情で、時折、中央を歩くミクに視線を向ける。ミクは、そんな二人の様子を一切気にせず、軽快な足取りで歩みを進めていた。

ミクは、一見すると普通の女子高校生だった。黒髪を肩まで伸ばし、制服のスカートは膝丈で、控えめなメイクをしている。しかし、その穏やかな表情の裏には、二人を完全に掌握する圧倒的な力があった。慎一と大雅は、ミクの「支配下」にあったのだ。そして、その支配は、決して暴力的なものではなかった。

「喰いシリーズ」の一番下の妹、ミク。その呼び名は、兄弟たちの間での暗黙の了解のようなもので、誰からも疑問として問われることはなかった。両親からは優秀な娘として、学校では成績優秀な生徒として、ミクは完璧に社会に適合していた。しかし、その完璧さの裏に隠されたのは、慎一と大雅に対する絶対的な支配力だった。

それは、まるで本能的なものだった。ミクが何かを要求すれば、慎一と大雅は、どんなに理不尽なことであっても、文句一つ言わずにそれを実行した。それは、彼らの意思ではなく、ミクへの絶対的な服従からくる行動だった。

例えば、ある日のこと。ミクは突然、「明日、早朝に、あの廃墟に行け」と命令した。廃墟とは、町の郊外にある、崩れかけた古い工場のことで、危険な場所として知られていた。慎一と大雅は、その危険性を承知していながらも、ミクの命令に逆らうことなど、考えもしなかった。彼らは、ただ黙って、ミクの指示に従った。

廃墟に着くと、ミクは奇妙な行動を始めた。彼女は、工場の片隅に積み上げられた廃材の中から、小さな金属片を探し出した。それは、まるで宝物を見つけたかのような、嬉しそうな表情で、金属片を手に取った。

「これ、慎一にあげる」

ミクは、そう言って、金属片を慎一に手渡した。慎一は、何も言わずに金属片を受け取った。その金属片は、錆びついていて、何の役にも立たないような代物だった。しかし、慎一は、それを宝物のように大切にしまい込んだ。

大雅は、そんな二人の様子を静かに見ていた。彼の胸には、複雑な感情が渦巻いていた。ミクへの服従、そして、ミクに対する、不可解な憧憬。彼は、ミクに支配されていることを、嫌だとは思っていなかった。むしろ、ミクに支配されることで、自分の存在意義を見出しているかのようだった。

「喰いシリーズ」という名前。それは、彼らの家族が、古くから受け継いできた、ある種の伝統を示唆していた。その伝統とは、家族の中で、一番下の妹が、兄弟たちを完全に支配するという、奇妙な掟だった。

ミクは、その掟を、完璧に体現していた。彼女は、兄弟たちを支配することで、自分の存在意義を確認し、満たされていた。そして、兄弟たちは、ミクに支配されることで、自分の存在意義を見出していた。

ある日、ミクは二人に告げた。

「私、大学に行くことにした」

慎一と大雅は、ミクの言葉に驚きを隠せなかった。ミクは、これまで彼らの生活の中心だった。ミクが大学に進学することで、彼らの生活は大きく変化するだろう。しかし、彼らは、ミクの意思を尊重する以外、何もできなかった。

ミクの大学生活が始まった。彼女は、大学でも優秀な成績を収め、多くの友人を作った。しかし、彼女の心の中には、いつも慎一と大雅の姿があった。そして、彼女は、時折、二人に会いに行き、短い時間だが、一緒に過ごした。

大学卒業後、ミクは、一流企業に就職した。彼女は、そこで着実にキャリアを築き、社会的に成功した女性となった。しかし、彼女にとって、本当の幸せとは、慎一と大雅との繋がりだった。それは、彼女の支配力、そして、兄弟たちの絶対的な服従によって支えられていた、奇妙で、それでいて、揺るぎない絆だった。

そして、年月の流れとともに、「喰いシリーズ」の物語は、静かに幕を閉じようとしていた。ミクは、慎一と大雅に、自分の幸せを語った。それは、彼らへの感謝の言葉であり、同時に、長きにわたる支配の終焉を告げる、静かな宣言でもあった。  ミクの支配は、終わるのではなく、新たな形へと変化を遂げようとしていたのだ。それは、兄弟たちの間に、新たな、より深い信頼関係が生まれることを意味していた。支配と服従を超えた、真の家族の絆の始まりだった。