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夜が静寂に包まれ始めた頃、陽菜の部屋には薄暗い明かりが差し込んでいた。彼女はデスクに向かって座り、画面の前の椅子に目を向けていた。その椅子は、まるで白い人工皮革でできた繭のような形をしており、ヘッドレストや肘掛けが豪華に装飾されていた。

椅子の中央には、丸い穴が開いており、そこには黒いプラグがつながっていた。陽菜はプラグをそっと外し、自分が持っていたVRヘッドセットをつないだ。ヘッドホンを耳にかけ、ゴーグルを頭に装着すると、彼女の視界は一変した。

目の前に広がっていたのは、広々とした白亜の部屋だった。部屋の正面には大きな窓があり、そこから差し込む光が白い床を照らしていた。窓の外には、緑豊かな庭園が見え、小鳥のさえずりがかすかに聞こえてきた。

陽菜はゆっくりと立ち上がり、部屋の中を探索し始めた。すると、部屋の一番奥に奇妙な椅子が置いてあることに気づいた。その椅子は、真っ黒な革でできており、背もたれは翼のように広がっていた。肘掛けには悪魔のような装飾が施され、座面には「AMAZING CHAIR」と金色で彫られていた。

陽菜は好奇心にかられて椅子に歩み寄り、触れてみた。すると、椅子が突然震えだし、「ようこそ、淫者の椅子へ」と機械的な声が聞こえてきた。陽菜は驚いて後ずさりしたが、その声の優しさに引き寄せられて、もう一度椅子に触れた。

すると、椅子の座面がゆっくりと開いた。陽菜は目を凝らして中を覗き込むと、そこには白い布に覆われた何かが横たわっていた。陽菜は布をめくってみると、なんとそれは自身の裸体だった。

陽菜は真っ赤になり、慌てて椅子から逃げ出そうとした。しかし、椅子が彼女の足を捉え、彼女は動かなくなってしまった。すると、「リラックスしてください。何も起きませんよ」と機械的な声が再び聞こえてきた。

陽菜は抵抗をやめ、椅子がゆっくりと彼女を包み込むのを受け入れた。椅子は彼女の上半身に柔らかい布をかけ、彼女の頭部にはヘッドホンを装着した。そして、ヘッドホンから流れる音声が彼女の鼓膜を震わせ始めた。

「この椅子は、あなたの最も深い欲望を叶えます。あなたの体のあらゆる部位を刺激し、官能的な恍惚感へと導きます」

陽菜は自分の体がじんわりと温かくなっていくのを感じた。ヘッドホンから流れる音声が彼女の心を惑わせ、彼女の体の中を快楽の波が駆け巡った。彼女はかつてないほど官能的な快楽に溺れ、現実と夢の世界の境界が曖昧になっていった。

しばらくすると、陽菜の体が激しく震え始め、彼女は意識を失ってしまった。椅子は彼女をそっと温かい布で包み込み、ゆっくりとヘッドホンを外した。そして、「またお会いしましょう」と機械的な声が最後に聞こえて、部屋は再び静寂に包まれた。

陽菜が目を覚ますと、彼女は自分の部屋のベッドに横たわっていた。彼女は夢の中で体験した快楽を思い出し、再びあの椅子に乗りたいという衝動に駆られた。しかし、彼女がVRヘッドセットを取りに行こうとすると、ヘッドセットはそこにはなかった。

陽菜は部屋中を探したが、ヘッドセットは見つからなかった。まるで、あの出来事がすべて夢だったかのように。しかし、彼女の体の奥底には、あの官能的な体験の記憶が鮮明に残っていた。

陽菜は複雑な気持ちを抱えながら、ヘッドセットを探し続けることをあきらめた。あの 椅子が再び現れることはないだろうと思ったが、どこかで心の奥底で、再びあの官能的な体験に身を委ねることを待ち望んでいた。