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Otozock/Animezockプロフィール - Ci-en(シエン)
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サークル名 Animezock
販売日

 

## 弓道の音色と、初めての甘さ

窓の外は、うっすらと夕焼けに染まり始めていた。体育館の弓道場は、ひっそりとした静寂に包まれている。一本の矢が放たれるたびに響く乾いた音と、的を射抜く小気味よい音が、私の心を静かに満たしていく。私は、弓道部に所属する高校二年生、佐倉 葵。誰にでも分け隔てなく接するけれど、どこか人を寄せ付けないクールな雰囲気を持つと言われることが多い。でも、本当は誰よりも繊細で、初めてのことに臆病な自分を隠しているだけなのだ。

そんな私の日常が、ある日突然、鮮やかに彩られた。きっかけは、SNSでの偶然の出会いだった。ユーザー名「静かなる射手」という方。プロフィールには、控えめな笑顔の男性の写真と、「弓道に魅了される日々」という一文。私たちは、弓道という共通の趣味を通じて、自然と会話を重ねるようになった。メッセージのやり取りは、いつも穏やかで、私の拙い悩みにも丁寧に耳を傾けてくれた。彼の言葉遣いは丁寧で、文章からも誠実さが伝わってきた。まるで、私の心を映し出す鏡のように、共感して、励ましてくれた。

数週間後、私たちは初めて会う約束をした。放課後、いつものように弓道部の練習を終え、待ち合わせ場所である駅前のカフェへと向かう。少し緊張しながらドアを開けると、そこにいたのは、プロフィール写真よりもずっと優しい笑顔を浮かべた男性だった。彼は、私と同じくらいの身長で、少し猫背気味なのが愛らしい。私の想像していたよりもずっと年上の、三十歳くらいだろうか。そして、その醸し出す雰囲気は、まるで長い間枯れていた大地に染み込む、久しぶりの恵みの雨のようだった。

「佐倉さん、かな?」

私の名前を呼ぶ声も、彼の雰囲気に似て、優しく響いた。私は、小さく頷いた。

「はい、佐倉 葵です。えっと、静かなる射手さん?」

「ああ、僕は田中です。田中 健一。静かなる射手は、ただの趣味で。そんなに堅苦しく考えなくて大丈夫ですよ」

田中さんは、そう言って柔らかく笑った。その笑顔に、私の緊張も少しだけ和らいだ。カフェの席に座り、温かい紅茶を頼む。会話は、やはり弓道のことから始まった。彼もかつて弓道をしていたらしく、私の最近の悩みである、一本の的に集中しきれないことを話すと、真剣に耳を傾けてくれた。

「集中できない時って、どうしても色々なことが頭をよぎるんですよね。部活のこととか、友達のこととか……」

「なるほど。弓道は、心を一点に集中させるのが大切ですからね。でも、それは難しいことでもあります。特に、色々な感情が渦巻いていると、なおさらでしょう」

田中さんは、私の言葉を丁寧に受け止め、そして自分の経験を話してくれた。彼も、学生時代にはそんな時期があったこと、そしてどうやって乗り越えてきたのか。彼の言葉は、単なるアドバイスではなく、私の心の奥底にある不安をそっと撫でるような温かさがあった。

「弓を引く時、心の中で何か一つ、大切なものを思い浮かべるのはどうかな? 例えば、君の弓道への情熱とか、仲間への感謝とか。そういう、ポジティブなイメージに焦点を当てるんです」

彼の提案は、私にとって新鮮だった。いつも、どうやったら的を射られるか、どうやったらもっと上達できるか、という技術的なことばかり考えていたけれど、心の持ちようも大切なんだと気づかされた。

私たちは、その後も色々な話をした。私の知らない世界のこと、彼の仕事のこと。彼の話は、私の知らない世界を垣間見せてくれるようで、興味深かった。そして、気が付けば、外はすっかり夜になっていた。

「もうこんな時間か……。今日は本当に楽しかったです。ありがとう、佐倉さん」

田中さんがそう言うと、私は、まるで別れが惜しいかのように、胸の奥がきゅっとなった。

「私も、楽しかったです。田中さんとお話できて、色々なことを考えられました」

「また、近いうちに会えると嬉しいな」

田中さんの言葉に、私は思わず顔を赤らめた。彼とまた会えるかもしれない。その考えだけで、私の心は浮き立つようだった。

それから、私たちは頻繁に連絡を取るようになった。SNSでのメッセージに加え、時には電話をすることもあった。彼の声は、メッセージ以上に優しく、私の心を包み込んだ。彼は、私を「佐倉さん」と呼び続けていたけれど、その呼び方の中に、不思議な親密さを感じていた。

ある週末、田中さんから久しぶりに連絡が来た。「近くで用事があるから、もしよかったら、少しだけ会えないかな?」という内容だった。私は、迷わず「はい、ぜひ!」と返信した。彼の近くにいられるというだけで、胸が高鳴った。

待ち合わせ場所は、公園のベンチだった。夕暮れ時、公園はオレンジ色の光に包まれ、木々の葉が風にそよめいていた。田中さんは、私の姿を見ると、嬉しそうに手を振ってくれた。

「佐倉さん、来てくれてありがとう」

「いいえ。田中さんにお会いできるなら、いつでも」

そんな風に答えてしまった自分に、後で少し恥ずかしくなった。田中さんは、私の隣に座り、公園の風景を眺めながら、静かに語り始めた。

「最近、君のことをよく考えているんだ。君の弓道に向かう真剣な姿とか、時々見せる少女らしい一面とか……。君のことを知れば知るほど、もっと君を知りたくなってしまう」

彼の言葉は、私の予想を遥かに超えていた。私は、ただの年下の弓道部員として、彼と交流していると思っていたから。

「私も……田中さんのことを、もっと知りたいと思っています」

私の声は、自分でも驚くほど震えていた。田中さんは、私の顔を覗き込むようにして、優しく微笑んだ。

「あのね、佐倉さん。僕、ずっと誰かと本当の意味で心を通わせることが、できなかったんだ。色々な経験をしてきたけれど、どこかで壁を感じてしまって。でも、君と話していると、その壁が自然と溶けていくような気がするんだ」

彼の告白に、私は静かに聞き入っていた。彼もまた、私と同じように、心の奥底に秘めた思いを抱えていたのかもしれない。

「僕は、君にもっと触れたいって、思ってしまうんだ」

田中さんの言葉は、唐突だった。そして、その言葉と共に、私の身体に、今まで感じたことのない熱が駆け巡った。彼の視線は、真剣で、私の反応を静かに待っているようだった。

私は、何も言えなかった。ただ、彼の言葉を咀嚼しようとしていた。今まで、男性と恋愛的な意味で深い関係になったことは一度もない。初めての経験に、恐怖と、そして、それ以上に強い好奇心が入り混じっていた。

田中さんは、私の沈黙を、戸惑いと受け取ったのか、少し顔を曇らせた。

「ごめん。急にそんなことを言って。もし、不快だったら、本当に申し訳ない」

「い、いえ! 不快なんてことは……」

慌ててそう言うと、田中さんは少しだけ安堵したような表情を見せた。

「君の、その真っ直ぐな瞳に、吸い寄せられてしまうんだ。君の清楚さ、そして、時々垣間見える、純粋な心に、僕は、心を奪われてしまった」

彼の言葉一つ一つが、私の心の奥底に優しく染み込んでいく。彼の優しさ、真剣さ、そして私に向けられる情熱。それら全てが、私を満たしていくようだった。

「あの……私、その……」

私は、何を言えばいいのか分からず、言葉に詰まった。田中さんは、そんな私を見て、ふっと息を吐き出した。

「もし、君も僕と同じような気持ちだったら、君の気持ちを教えてほしい。無理強いはしないから」

彼の言葉は、私の背中を優しく押してくれた。私は、意を決して、震える声で言った。

「私も……田中さんのこと、気になっています。もっと、知りたいです」

私の言葉を聞いた田中さんの顔に、満面の笑みが広がった。それは、まるで太陽のような眩しい笑顔だった。

「本当かい? 佐倉さん……」

彼は、そう言って、ゆっくりと私の手を取った。彼の指先は、温かくて、少しだけ震えていた。その温かさに、私の心も、じんわりと温かくなっていくのが分かった。

公園の木々が、私たちの間にある静かな時を、優しく見守っているかのようだった。夕焼けの色が濃くなり、公園にいる人影も少なくなってきた。田中さんは、私の手を取り、立ち上がった。

「もう少し、話さないか? 僕の部屋で、ゆっくりと」

彼の言葉に、私は戸惑いと期待を同時に感じた。初めての経験は、きっと、この人となら大丈夫。そんな予感が、私の心を支配していた。私は、彼の誘いに、静かに頷いた。

彼の部屋は、シンプルな家具で統一され、落ち着いた雰囲気だった。窓からは、街の明かりが綺麗に見えた。田中さんは、私に飲み物を勧めてくれたけれど、私は緊張で喉を通らなかった。

「緊張してる?」田中さんが、私の手を握りながら尋ねた。

「はい……少し」

「大丈夫だよ。君に、嫌な思いはさせない。ただ……君のことを、もっと知りたいんだ」

彼の言葉に、私は安心した。彼は、私の気持ちを本当に大切にしてくれている。

「あの、田中さん……私、そういうこと、初めてで……」

私は、正直に自分の気持ちを伝えた。田中さんは、私の言葉を聞くと、さらに優しく私の手を握りしめた。

「知ってるよ。だから、焦らない。ゆっくり、君と一緒に」

そう言って、彼は私の顔を優しく撫でた。彼の指先が、私の頬に触れるたび、私の心臓は大きく鳴った。彼は、そのまま私の髪に指を滑らせ、私の頬に顔を寄せた。そして、私の唇に、そっと、触れた。

それは、まるで、弓弦を引くかのように、静かで、繊細な始まりだった。彼の唇は、想像以上に柔らかくて、私の心に優しく響いた。私は、ただ、その感触に身を任せた。

田中さんは、私の唇からゆっくりと離れると、私の瞳を真っ直ぐに見つめた。

「綺麗だね、佐倉さん」

彼の言葉に、私は顔を赤らめた。彼は、私の顔の赤みがさらに増したのを見ると、嬉しそうに微笑んだ。

「もっと……触れてもいいかな?」

彼の問いかけに、私は小さく頷いた。田中さんは、私の髪をさらに優しく梳き、私の頬を撫でた。そして、今度は、私の首筋に、そっと唇を寄せた。

彼の吐息が、私の肌に触れる。それは、今まで感じたことのない、不思議な感覚だった。私の身体は、彼の温かさに包まれ、安心感と、そして、抗いがたい興奮に満たされていった。

「君の香り、綺麗だ……」

彼は、そう呟きながら、私の耳元に唇を寄せた。彼の吐息が、私の耳をくすぐる。私は、思わず身を震わせた。

田中さんは、私の反応を見て、さらに大胆に私の身体に触れていった。彼の指先が、私の頬から首筋へと滑っていく。その一つ一つの感触が、私の身体の奥底に眠っていた、今まで知らなかった感覚を目覚めさせていくようだった。

「田中さん……」

私は、彼の名前を呼ぶ声さえも、震えていた。田中さんは、私の声に、さらに優しく微笑みかけた。

「大丈夫だよ。僕は、君を大切にする」

そう言って、彼は私の身体を抱き寄せた。私は、彼の胸に顔を埋めた。彼の胸の鼓動が、私の心臓の鼓動と重なるように感じられた。

田中さんは、私の髪に顔を埋め、私の身体をさらに強く抱きしめた。彼の熱が、私の身体に伝わってくる。私は、このまま、彼に全てを委ねてしまいたい、そんな衝動に駆られていた。

「君の優しさに、僕は救われているんだ」

彼の言葉は、私の心の奥底に響いた。私も、田中さんに、同じように救われていたのかもしれない。私たちの出会いは、ただの偶然ではなく、お互いを必要としていたからこそ、引き寄せられたのかもしれない。

田中さんは、私の顔を両手で包み込み、私の瞳を覗き込んだ。彼の瞳には、私への深い愛情と、そして、初めて触れる私への、熱い想いが宿っていた。

「佐倉さん、愛してるよ」

彼の言葉は、あまりにも突然で、そして、あまりにも、私の心を揺さぶった。私は、何も言えなかった。ただ、彼の言葉を、私の心に、深く、深く刻みつけた。

田中さんは、私の返事を待たずに、再び私の唇に唇を重ねた。今度は、先ほどよりも、もっと深く、もっと熱いキスだった。私の身体は、彼のキスに呼応するように、震え始めた。

弓道の弦を引くような、繊細で、そして、力強い感覚。初めての経験は、私にとって、恐怖ではなく、むしろ、新しい自分を発見する旅の始まりだった。田中さんの優しさと、彼の情熱に導かれながら、私は、初めての甘さの世界に、ゆっくりと足を踏み入れていった。

夜が更け、窓の外の街の明かりが、私たちの部屋を優しく照らしていた。静かな弓道の音色とは違う、新しい音色が、私たちの間で響き始めていた。それは、二人の心が一つになる、甘く、そして、優しい音色だった。

 

 

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